シンガー、ソングライター、プロデューサーとしてはもちろん、ファッション/カルチャー・アイコンとしても世界にその名を知らしめるスーパー・マルチ・アーティストPharrell Williamsが、サマーソニック2015で9年ぶりとなるライヴ・パフォーマンスを披露、約90分に渡るパフォーマンスで、マリン・ステージ(QVCマリンフィールド)に集結した35,000人のオーディエンスを”ハッピー”で”フリーダム”なオーラに包みこんだ。

とっぷり日が暮れて群青色に包まれたスタジアムはスタンドの上のほうまでみっしりオーディエンスで埋まり、その3万5千人の大歓声に迎えられてファレルがダンサーたちと共に登場。記念すべきオープニングは最新シングル“Freedom”だ。「アップルミュージック」独占で先行公開されたことでも話題のこの曲、のっけからファレルのファルセット・シャウトが轟き、会場は一気にヒートアップする。
 

その後も「Come Get It Bae」、ネプチューンズ時代の「Frontin’」と、ソウル、ヒップホップ、ファンクとくるくる表情を変えながら、ノンストップで歌い、踊り繋ぐファレル。その様はまさにエンターテイメント、容赦なくアゲて、アゲて、さらにアゲまくる、フェス・セットとして最高のスターターだ。

ショウの中盤はN*E*R*D時代のナンバーが立て続けにプレイされ、ヒップホップとロックの攻撃的ミクスチャー・サウンドでもってスタジアムのムードががらりと一変する。数十人のファンが一斉にステージに上がり、曲に合わせて思い思いに身体を揺らし、その光景に煽られるようにアリーナも狂騒の渦に突入していく。N*E*R*Dの大ヒット・チューン「She Wants to Move」ではセクシーなダンスを繰り広げるファンの女の子たちとファレルがまるでコラボのように絡みながら踊る。最後に「日本の女の子たち、ありがとう!カワイイ〜!」と彼は叫んでいたけれど、まさに今回のライヴで大きなテーマとなっていたのが「女性たちへのリスペクト」で、これは『G I R L』にも共通するテーマだ。



5人の女性バック・ダンサーによるダンス・バトル風のソロ・コーナーを挟んでの後半戦は、ファレルのプロデューサー、コラボレーターとしての側面を大フィーチャーした問答無用の大ヒット・チューン乱れ撃ち!のセクションだ。Daft Punkの「Lose Yourself to Dance」、Gwen Stefaniの「Hollaback Girl」、Snoop Doggの「Beautiful」と、誰もが知っているあの曲にも、この曲にもファレル印が刻印されていたことを、彼自身のゴージャスなパフォーマンスが証明していく。



特に凄かったのが、Robin Thickeの「Blurred Lines」、Daft Punkの「Get Lucky」、そしてファレル自身の「Happy」と、直近2年間の世界のポップ・ミュージックを代表するアンセム中のアンセムが3曲連続で披露されたクライマックスだ。「Get Lucky」以降は3万5千人のオーディエンスがスタンド席まで含めて総立ちのダンス・パーティと化し、子供たちがステージに上がって可愛らしいダンスを披露した「Happy」も最高にピースフルな瞬間だった。



そしてラストは再びの「Freedom」。ハッピーでフリーダム、そんなどこまでもポジティヴで力強いメッセージがエンディングの花火と共にスパークしたファレルのステージは、今年のサマーソニックを、そして今年の夏それ自体を締めくくるに相応しい最高の幕切れを飾った。
 

Setlist:
1.     Freedom
2.     Come Get It Bae
3.     Frontin’
4.     Hunter
5.     Marilyn Monroe
6.     Brand New
7.     Nothing / Move That Dope / Alright  / Hot in Herre / Just Wanna Love U / Pass The Courvoisier, PartⅡ(メドレー)
8.     Spaz
9.     Rockster
10.  Lapdance
11.  She Wants To Move
12.  It Girl
13.  Lose Yourself To Dance
14.  Gust Of Wind
15.  Hollaback Girl
16.  Beautiful
17.  Drop It Like It’s Hot
18.  Blurred Lines
19.  Get Lucky
20.  Happy
21.  Freedom


Written by 粉川しの
Photos by Yoshika Horita