相対性理論 × やくしまるえつこ × YCAM 特別企画

『天声ジングル - ∞面体』

多彩な才能を発揮し活躍するやくしまるえつこ率いる音楽ユニット「相対性理論」、ポップミュージシャンとしては初となるYCAM特別企画を開催!最高レベルの音響、映像環境を誇る YCAMでのライブ・インスタレーション・爆音上映を見逃すな!

・ライブ:2016年12月17日(土) 19:00 開演(18:00 開場)
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオA
チケット発売:10月29日(土)
料金:前売一般5,000円 / any会員・特別割引・25歳以下4,500円 / 当日5,500円
www.ycfcp.or.jp 

・インスタレーション:12月3日(土)~12月18日(日)開催
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオB、山口市立中央図書館、ほか
入場無料

・爆音上映:2016年12月18日(日) 14:30 上映開始
山口情報芸術センター[YCAM] スタジオA
チケット予約受付開始:11月12日(土) 〜 価格未定
www.ycfcp.or.jp 

山口情報芸術センター[YCAM]では、「相対性理論」「やくしまるえつこ」とYCAMによる特別企画『天声ジングル - ∞面体』(読み:テンセイジングル ポリヘドロン)を開催します。音楽シーンのみならず、テクスト、ドローイング、 美術作品など多彩な才能を発揮し活躍するやくしまるえつこ率いる音楽ユニット、相対性理論。その独自の世界観と音楽は、音楽ファンだけでなく、多くのクリエイターたちから熱い視線と注目を集めてきました。

今年4月にリリースされ、黒沢清、坂本龍一、ジェフ・ミルズら国内外のアーティストからも賛辞を贈られるなどロングランヒットを続ける相対性理論の最新作『天声ジングル』。その『天声ジングル』を提げ、7月には前代未聞となる完全インディペンデントでの日本武道館公演『八角形』を成功させた相対性理論。そして2016年12月、ポップミュージシャンとしては初となるYCAMでの特別企画『天声ジングル - ∞面体』が開催されます。『天声ジングル - ∞面体』は、天地創造から始まり生命の螺旋を描く『天声ジングル』の世界感を、ライブ・インスタレーション・爆音上映などで多層的・多角的・多元的に体験する試みです。

12月17日(土) にはスタジオAで相対性理論 山口初上陸となる『天声ジングル - ∞面体』ライブが開催されます。この公演のチケット発売は明日10月29日(土)からスタート。インスタレーションの展示期間は12月3日(土)~12月18日(日)。

スタジオBでは、立体音響や巨大スクリーンを用いたインスタレーション版『天声ジングル』を公開。また、図書館では、作家・円城塔が書き下ろした特殊な構造のテキストをやくしまるが解読・再構築して音源化したYakushimaru Experiment『タンパク質みたいに』のインスタレーションが発表されます。

更にバイオラボでは、やくしまるがバイオテクノロジーを用いて制作、音源と遺伝子組換え微生物で発表し話題を呼んでいる新曲『わたしは人類』の遺伝子組換え微生物も登場。

天地創造から遺伝子まで、『天声ジングル』を軸に連なる生命の世界をYCAMの空間全体で体験していただけます。各展示の入場は無料です。

ライブ翌日12月18日(日)には、相対性理論・やくしまるえつこ映像作品の爆音上映会を実施。前日ライブが行われたばかりのスタジオAで、ライブ機材を用いた爆音上映をご覧いただけます。

十全な音環境を備え、さまざまなメディアテクノロジーに関する知見を有するYCAMだからこそ実現可能な、ここでしか体験することのできない特別な世界観をお見逃しなく。ぜひ、この機会にお楽しみください。

また、今回の『天声ジングル - ∞面体』開催にあたり、雑誌『STUDIO VOICE』編集長をつとめ、2009年に同誌で相対性理論を特集するなど長年にわたり相対性理論・やくしまるえつこの活動を追い続けている批評家・編集者の松村正人がテキストを寄稿しています。
 

ボウイ、ブレイ、ブーレーズ、グレン・フライ、モーリス・ホワイトとプリンスとモハメド・アリ、ジョージ・マーティン、チミノとワイダが鬼籍にはいり、日を置かずそれにつづいたダリオ・フォがノーベル文学賞を受賞した年にはじめてその候補にあがったというボブ・ディランが同賞を受けた二〇一六年はおそらく、のちにひとつの時代を画した年とふりかえられるのではないか。個人的に――ということばを私はつねに慎重にもちいたいが、それでも、個人的に――もまちがいなくそうだった二〇一六年の春、相対性理論は五枚目のオリジナルアルバム『天声ジングル』をリリースした。彼らにとってもこのアルバムは画期的だった、いや、アーティストは一作ごとにそうなのだからいまさらいうべきことではないとあなたはおっしゃるかもしれない。そのようにして時代は変わると。それがあたりまえの時間感覚であり歴史観だが、かつて「過去は私に影響を与えない。私が過去に影響を与えるのだ」とデ・クーニングがいったときよりも現在の時制はずっと錯綜しており、作品や楽曲が時制の前後を問わず、ときに回路をもち通底し、あるいは反撥し合い分散する、そのような状況を名づけるのは簡単だけれども、私は意識的に引き受け生き抜くはたやすくない、昔がよかったともいまが最高だといいたいのでもない。そうではなくて、作品が顕れることでそれが照らすものがあり、『天声ジングル』はそのようなものだった。二〇一六年のポップスとしての画期である。タテのりのリズムは横軸のグルーヴに移行し、よく聴くといろんな音がいっぱいはいっている。やくしまるえつこの歌唱は曲に登場するキャラクターを演じるのではなく楽想を外側から包括する位置に上昇し、相乗効果のように着想も高さを増していく――と思いきや、身の回り数センチに舞い戻り、コンビニに日参し、この街を脱出しビッグになろうとするヤツを軽めにディスったりする。単独で曲を聴き、アルバム一枚まるまるとおす。シャッフルモードも一興だろう。とまれ、何度聴いても発見がある――との言い方はもはやクリシェですらないが、使い古されたことばに影響を与える作品が稀に存在することを、『天声ジングル』を聴かれた方ならうなずかれるにちがいない。

残念ながら、収録曲をナマで聴く機会はまだ数えるほどしかない。というか、一度しかなかった。七月の武道館公演がそれだが、『天声ジングル』の顔見せともいうべきこの日のライヴは、完全なインディペンデントスタイルでおこなった公演のあり方とともに深く印象に刻まれるものだった。紙幅の関係で詳述はしないが、はじめて舞台にかかった『天声ジングル』の収録曲は原曲に忠実な仕様だったが、身体の厚みとゆらぎがあった。カセット、CD、ブルーレイからレコード盤まで、現行の市販の媒体を網羅した『天声ジングル』の、それは(も)ひとつの形態だが、相対性理論にとって最終形態ではなかった。なんとなれば、山口のYCAMで十二月に開催する相対性理論 YCAM特別企画『天声ジングル - ∞面体』で『天声ジングル』はまたちがうかたちで顕れるからである。

相対性理論の首謀者でもあるやくしまるえつこの視点は『天声ジングル』の通奏低音である巨視的なそれと顕微鏡的な微細なものとの複眼であることを示している。いわば多層的、多角的、多元的な、さらにいえば俯瞰的でありながら遍在する、そのようなあり方を神的とまではいうまいが、相対性理論がこの時点で三度目に『天声ジングル』を披露することになるであろう十二月(十七日)の山口は神在月になるかもしれない、この神なき世界で。

二〇一六年神無月 松村正人

 
『天声ジングル - ∞面体』アーティストプロフィール

■相対性理論
東京都心にて活動中。やくしまるえつこを中心に、自主レーベルを拠点とし一貫してインディペンデントでの活動を続ける。近年はマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジェフ・ミルズ、ソニックユースのサーストン・ムーア、マシュー・ハーバート、ペンギン・カフェらとの共演・共作を行い、2016年には最新アルバム「天声ジングル」を発表。日本武道館での自主企画公演・相対性理論 presents「八角形」を開催した。11月29日にはシリアン・テクノのスター、オマール・スレイマンとの2マンライブを行う。

■やくしまるえつこ
音楽家として「相対性理論」など数々のプロジェクトを手がけるほか、絵画やメディアアート作品の制作、楽曲提供やプロデュース、文章と多岐にわたる活動を行う。バイオテクノロジーや人工衛星、生体データを用いた作品、人口知能と自身の声による歌生成ロボットや独自のVRシステム、SMAPらへの楽曲提供やセーラームーンの主題歌までジャンルレスに活躍。近年の活動に、相対性理論×Jeff Mills「スペクトル」(2015)、相対性理論「天声ジングル」(2016)、「わたしは人類」(2016)など。
 
チケット情報 
○2016年12月17日(土)開催 19:00 開演(18:00 開場)
相対性理論 presents 『天声ジングルー∞面体』ライブ 
チケット発売日:10 月 29 日(土)
オールスタンディング 
前売 一般 5,000円 any会員・特別割引・25歳以下 4,500円 
当日 5,500円 ※当日は各種割引対象外 
※未就学児童入場不可 ※託児サービスあり ※特別割引:シニア(65 歳以上)、障がい者及び同行の介護者1 名が対象 

電話/窓口: 
山口市文化振興財団チケットインフォメーション
083-920- 6111 
10:00~19:00 ※火曜休館、祝日の場合は翌日 

インターネット: 
www.ycfcp.or.jp 
24時間受付 ※要事前登録 

セブンチケット:セブンコード 050-066
チケットぴあ:PCode15-194


○2016年12月18日(日)開催 14:30 上映開始
相対性理論・やくしまるえつこ映像作品 爆音上映
発売日:11月12日(土)
料金:全席自由 前売・当日:価格未定
※未就学児童入場不可
※託児サービスあり

申込方法
電話/窓口:
山口市文化振興財団チケットインフォメーション
083-920- 6111
10:00~19:00※火曜休館、祝日の場合は翌日

インターネット:
www.ycfcp.or.jp 
24時間受付 ※要事前登録 

山口情報芸術センター[YCAM]
http://www.ycam.jp/
〒753-0075 山口県山口市中園町7-7
休館日:毎週火曜日、年末年始
TEL: 083-901- 2222
information@ycam.jp


相対性理論
http://mirairecords.com/stsr/

やくしまるえつこ
http://yakushimaruetsuko.com/