毎年、豪華アーティストが世界中から苗場に集結する FUJI ROCK FESTIVAL。今年は Kendrick Lamar​(ケンドリック・ラマー)、N.E.R.D​(エヌイーアールディー)、Post Malone​(ポスト・マローン)、Anderson .Paak​(アンダーソン・パーク)、Princess Nokia​(プレリンセス・ノキア)……と、Hip Hop アーティスト勢が多くラインナップされた。また、ノーベル文学賞を受賞したことでも知られる Bob Dylan​(ボブ・ディラン)が出演することでも話題となっていた。

今年のフジロック期間中は、台風12号の接近が危ぶまれていたが、1日目は好天に恵まれ、絶好のフェス日和となった。


痛いほどの日差し照らされた WHITE STAGE。2014年にレッドマーキーを満員状態にした Parquet Courts(パーケイ・コーツ)が、今年また苗場に帰ってきた。ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する4人組ガレージパンクバンドの Parquet Courtsは、今年発売されたアルバム『Wild Awake』が数々の海外レビューサイトで高評価だったため、ライブへの期待も大きく、ライブが始まる前から多くの観客が集まっていた。
新譜に収録されている「TOTAL FOOTBALL」から始まったライブは、最初の1音からアクセル全開。ベーシストの Sean Yeaton(ショーン・イートン)は、ライブ開始早々、音に合わせて頭を振り過ぎて、サングラスを派手に飛ばしていた。バンドのリーダーである A. Savage(アンドリュー・サヴェッジ)が雄叫びをあげ、唸りまくるベースラインの重低音に自然と体が前のめりにステージに引き寄せられていく。
アルバムのリードトラック「Wild Awake」では、パーカショニストが登場。ファンキーなベースと轟音のギターがあいまって目の覚めるような最高の時間を作り上げていた。何者にも媚びず、ひたすら己の創作意欲を具現化し、言いたいことを叫びまくる姿は、まさにロックンロールを体現しているようだった。

Ⓒ Masanori Naruse

アメリカを代表する鬼才ギターリスト MARC RIBOT’S CERAMIC DOG(マーク・リーボウズ・セラミック・ドッグ)は5年ぶりに苗場に降臨。今回は以前の MARC RIBOT Y LOS CUBANOS POSTIZOS(マーク・リボー & ロス・クーバノス・ポスティーソス)で見せたキューバ音楽をベースにした演奏とは違い、エクスペリメンタルロックという言葉がぴったりの、実験的で荒々しさの中に緻密さが詰まったバンドサウンドで帰ってきた。
彼らの演奏にはとにかく圧倒されるばかり。メンバー同士、アイコンタクトを取りつつ演奏している姿は、ジャムセッションのようであった。メンバーたちの卓越した技巧と溢れ出るセンス、そしてそれらを上手くアンサンブルしている様子は、マーク・リーボウだけが鬼人なのではなく、MARC RIBOT’S CERAMIC DOG のバンドメンバー全員が鬼人であると思わされた、圧巻のライブパファーマンスだった。

Ⓒ Masanori Naruse​

今回の FUJI ROCK でも注目株だったのが、Post Malone(ポスト・マローン)。ワイルドなパフォーマンスと、それとは非常に対照的な礼儀正しい姿のギャップが観客たちを驚かせた。Post Malone は途中、全米チャートではNo.1に輝いた「Rockstar」では、曲の最後にギターをステージに叩き付けるパフォーマンスを見せたり、観客が投げた靴に酒を入れて「カンパ〜イ」と一気飲みしたりと強烈な印象を与える一方で、一曲ごとに観客に曲名を告げてから演奏を始め、「Thank you, Ladies and gentlemen」と深くお辞儀をして礼を述べる。トラップ、ロック、様々なジャンルの垣根を超えた彼の音楽は、まさにそんな彼が持つ様々な顔と同じように、シンプルなようで複雑な、新しい音楽の形なのかもしれない。​

@Masanori Naruse​

今年のフジロック のステージの中でも、非常に美しいステージとなった ODESZA​(オデッサ)。巨大なスクリーンに投影された映像を背負って ODESZA​ の二人が立ち、時に6人のパーカッションと共に彼ら自身もパーカッションを演奏しつつのライブ風景となった。ODESZA​ は壮大な世界観を暗闇の中のホワイトステージに作り上げ、音に合わせて揺れる人、ただ様子を黙って眺める人と、オーディエンスたちはそれぞれが楽曲の持つ世界観に浸って、思い思いに耳を傾けていた。


@Masanori Naruse​

N.E.R.D(エヌイーアールディー) のライブパフォーマンスは、とにかくメンバーたちがステージ上を縦横無尽に動き回り、非常に熱量の高いパワフルなものとなった。軽快なラップに合わせて足踏みし、最近の曲から Migos(ミーゴス)、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、Beyonce(ビヨンセ)と Jay-Z(ジェイ・Z)夫妻の The Carters(ザ・カーターズ)等の Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)のプロデュース曲もプレイされ、そこに Pharrel を中心としたメンバーがラップを乗せる。Pharrel の煽りで興奮最高潮となったフロア中央はモッシュピットの渦と化した。Pharrel は「東京は第二の故郷だ。皆に流れている日本人の血は素晴らしい」「声が枯れちゃったけど、皆がサポートしてくれるから大丈夫!」とマイクで観客に語り掛け、その度に大きな歓声が沸き起こった。


@Tsuyoshi Ikegami​