世界的に大ヒットし、現在でも愛され続けているアンセムである Major Lazer & DJ Snake "Lean On"や、世界的人気を誇る Justin Bieber と共にフィーチャリングで参加した Major Lazer "Cold Water" のボーカルとしてその名を一気に世界に轟かせた エレクトロ・ポップ界の新鋭個性派アイコンの M∅(ムー)が、待望の 2nd アルバムを発売! それに合わせていよいよ日本デビューも果たす。


少女のようなイノセンスな雰囲気と小慣れた迫力が同居するキュートでスモーキーな歌声が、楽曲に合わせてエモーショナルに響き渡る。一度聞いたら忘れられない特徴的な歌声の M∅。
M∅ は、これまで「グラストンベリー」「コーチェラ」「ロラパルーザ」「ボナルー」といった数々の世界的に有名な大型フェスへも出演してきており、ここ日本にも正式デビュー前に「サマーソニック2016」と、その前日に開催された単独公演で初来日を果たし、更に2017年には初のジャパンツアーを東京・新木場ageHa、大阪・IMP HALL にて開催、圧倒的なパフォーマンスを見せつけた。
 

また、ボーイッシュな中にもガーリィなテイストを忘れない、パンクでスポーティー、エッジーで絶妙なバランスの個性的なファッションが特徴的な M∅ は、ファッショニスタとしても知られていて、T Alexander Wang、Nike、Elie Saab、と、数々のファッションブランドとキャンペーン等でコラボした経歴を誇る。来日時には i-D JAPAN や SPUR.JP といったファッション・メディアからもインタビューも受けており、ファッションマニアたちからの注目度も高い。​
 

日本デビュー & 2nd アルバム発売に際し、M∅ から日本向けのオフィシャルインタビューが届いている。
 

ファースト・アルバム『No Mythologies to Follow』から4年目にしてセカンド・アルバム『Forever Neverland』がようやく完成しましたが、その間にあなたを取り巻く環境は一変しました。一連の体験はアルバムの方向性にどんな影響を与えましたか?

2014年にファーストを発表したあと、実はすぐに次のアルバムについて考え始めていたの。次なる自分のサウンドを探さなければと思って、2015年に入った頃にはすでに新しい曲を作っていたわ。ただ、その「自分のサウンド」が何なのか、何をテーマに定めるべきなのか、まだはっきりと見極められずにいた。
そんな時に Major Lazer の『Lean On』が大ヒットして、それをきっかけに突然、みんなが私とコラボしたがって声をかけてくれるようになったの。いきなりたくさんの扉が開いて、大勢のプロデューサーやソングライターが私と音楽を作ることに関心を持ってくれた。それって私にとっては願ってもない話で、素晴らしいチャンスが到来したわけだし、かけがえのない経験をしたわ。
とはいえ『Lean On』の成功で、物事が猛スピードで進んで慌ただしい日々が続いたから、こう、地上に戻ってきて腰を落ち着けて自分の音楽を作るべく、サウンドを探したりプロデューサーを選んだり、テーマを絞るといった作業を再開できるまでに、ちょっとばかり時間を要したのよ。早い話が、時間が必要だったってこと。『Lean On』のヒットは私みたいなアーティストにとって、人生を変える大事件だったから。
それに私は、ちゃんとしたアルバムらしいアルバムを作りたかった。1枚の作品として一貫性や整合性があって、特徴的なサウンドに貫かれていて、何かを伝えているアルバムを作りたかったの。単にヒット曲を10曲集めてアルバムにするなんてことは、考えられなかった。1本のストーリーにしたかった。だから必要なだけの時間を費やしたんだけど、そういうやり方を選んだことに満足しているわ。間違いなく時間を必要としていたから。
 


パンクをルーツに持つあなたは、いきなりメインストリーム・ポップのど真ん中に進出するという体験を、どう受け止めましたか?
確かに私はパンク出身なんだけど、それよりも前の子供の頃は、ポップ・ミュージックが好きでたまらなかった。本当に熱烈なポップ・ファンだったの。だから、その後10代から20代初めまではデンマークのパンク・シーンに身を置いて積極的に活動していて、左翼の社会運動にも深くかかわっていたんだけど、MØとして新たなスタートを切った時には、ポップ・ミュージックを作ることに特に違和感は感じなかった。子供の頃はポップ・ファンだから、その後もずっと私の中にポップという要素はあったのよ。ただ、それと同じくらいに、よりエッジーな音楽も愛していた。従って、自分が作るポップ・ミュージックを何らかのエッジや主張の強さ、或いはパンク的なエネルギーで色付けることが、私には重要だったわ。



デンマーク人のポップ・アーティストとして、これだけの規模の成功を収めた例は過去にないと思いますが、地元のメディアや音楽界のリアクションは?
その点については、私はすごくラッキーだったと思う。メディアでも音楽界でも、みんな熱烈にサポートしてくれたから。やっかんだりとかネガティヴなリアクションは一切なかったし、色んな国を旅しながら活動して、自分の音楽を世界中に届けようとしている私を応援してくれて。だからすごくハッピーよ。


Diplo とは特に密な関係を築き上げていますが、そもそも彼が作る音楽のどのような部分がスペシャルなのでしょうか? あなたと彼のケミストリーをどう言い表しますか?
まず私は、昔から Diplo の大ファンだったの。コラボレーションを始めるずっと前から。彼が作るビートとサウンドは本当にエキサイティングだと思ったし、ほかの人たちが作るものとはひと味違うんだけど、それでいて親しみが持てた。それに、人間的にも興味深いキャラクターだと思えたの。ほら、彼は自分が作る音楽も含めて、たくさんのポリティカルなメッセージを発信していながらも、同時に徹底的に楽しむことを重視していて、それって素晴らしいバランス感だと思ったのよね。ポリティカルでありながら、音楽が与えてくれる喜びに自分を捧げていて。めちゃくちゃクールだと思ったわ。


で、その後コラボレーションを始めて、言うまでもなく大ファンだった私にとっては夢が叶ったわけだから、本当にうれしかったし、結果的には師匠みたいな存在になってくれた気がする。なぜって、彼の音楽作りへのアプローチからは学べることがたくさんあった。常に進化しようという欲求に突き動かされていて、常に境界線を押し広げようとしていて、常にエネルギー満々で、常に新しいアイデアにあふれていて、常にものすごく多彩なアーティストたちとコラボしているわよね。出身国も様々だし、誰もまだ知らないインディ・アーティストだろうが、マドンナみたいな世界的ポップスターだろうが、構わないのよ。とにかく尽きせぬエネルギーと行動力を備えている。

それって、そもそもアーティストとして必須の要素だと思うのよね。立ち止まることなく常に新しいことに挑戦している彼のアプローチを尊敬しているし、彼が作る音楽も大好きだし、そういうところに共感できるからこそ、私と彼はいいケミストリーを築いているんだと思うわ。


今年初めに公開された Doplo のシングル『Get It Right』の PV は、あなたと彼が一緒に踊るという演出で話題になりました。あのアイデアはどう生まれたのでしょうか?
あれは実は Diplo が思い付いたアイデアなの。彼に聞かされて、「最高じゃない!」って思ったわ(笑)。ある日メールをくれて、「ちゃんと振付をして、全く同じ動きをするダンスでビデオを作ろうよ」って言ってきたのよ。私もあの PV は大好き! 本当にキュートよね(笑)。
 


アルバムの話に戻りますが、先ほど一貫性という話が出た通り、『Forever Neverland』はすごくアルバムらしいアルバムですよね。そもそもどんなヴィジョンに則って作ったアルバムなんでしょう?
まずポップ・アルバムにしたかった。一貫性のあるポップ・アルバムね。でもそれと同時に、パンクにルーツを持つ人間として、パーソナルな作品にすることも重要だったわ。そしてエッジがあって、ゴリゴリしたリアルさがある作品ね。あとは、何かひとつのことに偏ったアルバムではなくて、音楽的にもひとりの人間としても、私の様々な面を見せたかった。そんなわけで、パーソナルで、ひとつの旅みたいなアルバムを目指していたわ。ポップなんだけどエッジがあって、ダークな部分も含んでいて。


歌詞は全て実体験に根差していると思って良いのでしょうか?
そうね。実体験だったり、記憶だったり、フィーリングだったり……。あと、中にはその曲を書いた時に感じていたことを素直に記録している歌詞もあるわ。その日何かが起きて、たまたま抱いていたフィーリングを。と同時に、過去を振り返って思い出している歌詞もあるし、とにかく全てパーソナルなのよ。


カリフォルニアや西海岸に言及する曲が多数含まれていますよね。
確かにそうね。というのも、このアルバムは、ヨーロッパとロサンゼルスの間を行き来する生活を送っていたという事実に、大きな影響を受けているの。知っていると思うけど、最近のミュージシャンの多くは、ロサンゼルスに長い間滞在して色んなソングライターやプロデューサーと共作したりするのが普通でしょ? 私の場合も、『Lean On』があんな風に世界的な大ヒットになってからというもの、「君もロサンゼルスに行って音楽を作るべきだ」と大勢の人に言われた。そうするのが当たり前だとみんな考えているのよ。だからそれを試してみたの。最初はすごく怖かったわ。ほら、私はそんな風に日々知らない人と会って、曲を一緒に書くというようなセッションには慣れていなかったから。

それまでの私にとってソングライティングはすごく私的な作業で、ソングライターとしては非常に内向的なタイプだった。だから全く新しい体験だったのよ。それにロサンゼルスってしばしば、外の世界から切り離されていて独自に完結している町だと、言われたりするわよね。俳優やミュージシャンの卵があちこちから集まっていて、毎日晴天で……。そういうロサンゼルスを私は、一種の “ネヴァーランド” という風に解釈したのよ。だからタイトルを『Forever Neverland』にしたわけ。つまり、『ピーター・パン』に登場するネヴァーランド、そこで暮らす人は永遠に年を取らないネヴァーランドね。そういう若々しいエネルギーに溢れた町だから。

それってすごく美しいアイデアではあるんだけど、同時に当時の私は、そういう隔絶した世界に吸い込まれてしまうのがすごく怖かった。なぜって私はロサンゼルスにいても、自分のクリエイティヴィティの核の部分を維持したかったの。

ミュージシャンなら誰もがロサンゼルスに行って、決まったやり方で音楽を作っていたけど、私はデンマーク人であり、それまで独自のやり方で音楽を作っていたから、アーティストとしての自分の出自に背を向けたくなかった。自分の出自に正直であることが重要だと思った。そんなわけで、ロサンゼルスと故郷を行き来しながらの生活を通じて私は色々学んで、こうして歌詞にも反映されているのよ。


そういう意味で『Nostalgia』みたいな曲は、まさに自分の出自との絆を維持するために書いた曲だったりするんでしょうか? PVも故郷で撮影していましたよね。
ええ。ほかにも、無意識のうちにそうしていた曲があるわ。アルバムの収録曲はほとんどロサンゼルスで書いたから、私はずっと故郷から遠く離れた場所にいた。そのせいで、常にデンマークにある過去を振り返りたいという欲求を抱いていて、自分のこれまでの人生や子供時代とコネクションを保っていなければという必要性をひしひしと感じていたの。

すごく不思議な感覚なんだけど。あともうひとつ言えるのは、私は30歳になったばかりで、つまり20代後半になってから色んな体験をして、そして30歳の誕生日を目前にしてこれらの曲を書いた。人間ってみんなそうなんだろうけど、20歳とか30歳とかキリのいい年齢に差し掛かると、一旦立ち止まって、自分が歩んできた道を振り返ったりするものよね。私の場合もまさに典型的なケースで、このアルバムでそれを実践したのよ。
 


今回はほぼ全曲でプロデューサーの STINT とコラボしていますが、なぜ彼を選んだのですか?
彼とコラボを始めたのは、2017年も終わりに近付いた頃だったわ。私はファーストを作り終えてから、『Lean On』以降の慌ただしい時期も含めてずっと、セカンド・アルバムのエグゼキュティヴ・プロデューサーを務めてくれる人、色んなことを任せて、私のパートナーになってくれる人を探し求めていたの。アルバムを作る際に最も重要なことと言えばソングライティングであり、いい曲をたくさん用意することよね。でも、それにも劣らずに重要なのは、これらの曲にサウンドを与えてまとめ上げて、一本の流れを作り出せる人、色んな意見をやり取りできる人を見つけることだと思うの。

で、2017年の夏だったと思うけど、ラジオでとある曲を聴いた時にすぐにピンと来て、「私が組むべきプロデューサーはこの音を作った人だ」と確信したの。そうしたら、まさにその曲をプロデュースした人と、すでに過去にコラボ経験があったことに気付いたのよ。そこで早速連絡して一緒に作業を始めて、彼はアルバムを完成させるにあたって本当に重要な役割を果たしてくれた。心から感謝しているわ。


このアルバムはダンスホールから王道のバラードまで多様なスタイルを網羅していますが、サウンドの方向性についてはどんな話し合いをされましたか?
そうね。例えばバラードって私は基本的に大好きだし、スローで、よりエモーショナルな曲をふたつくらい用意しなくちゃと思っていたの。その一方で、聴いてもらえば分かるかもしれないけど、リズムの面ではドレイクの作品に影響されずにいられなかった。あと、Jamie XXや SZA にもインスパイアされたっけ。だから、プロダクションに関しては色んな話をしながら進めたわ。でも時には、スタジオにいる時に、その日のその場の雰囲気で自然に生まれたサウンドもある。そういう時は、昔から持っている影響源が自然に現れたりするのよ。


本作には4組のゲストも参加しています。Diplo は言うまでもないとして、以前から何度か共作・共演している Charli XCX​ の名前も、『If It’s Over』にありますね。
ええ。Charli と私はほぼ同時期にブレイクして……活動歴で言えば彼女のほうが長いんだけど、同時期に同じような立場にいるアーティストとして親しみを感じていたの。ほら、Charli も私も元々インディ・アーティストとしてスタートして、だんだんポップに変化していったでしょ? だから、知り合ったのは2014年なんだけど、それ以前から彼女と自分は同じような道を歩んでいるんだという意識があった。もちろん異なるところもたくさんあるんだけど、共通項もあるから。


で、2014年に初めて対面した時、即座に惚れちゃったの。すごくスウィートで、飾らない性格の女性で、一緒にいると楽しいし、エネルギーを漲らせているし(笑)。そして彼女の音楽も大好き。ソングライターとして大きな才能の持ち主であるだけでなく、表現者としても然りで、様々なポリティカルな主張もしている。だからすごくクールな人だと思うし、私たちが一緒にいると、すごくフレンドリーなエネルギーが自然に生まれるのよ(笑)。

アルバムに参加してもらえて本当にうれしいわ。そういう意味ではもうひとりのゲストである、Empress of にも同じことが言えるわね。彼女についても私は以前から大ファンで、ほぼキャリアが重なっていて、2013年のサウス・バイ・サウス・ウエストで初めて会ったの。びっくりするくらいスウィートでクールな人で、どうしても『Red Wine』に参加してもらいたかった。それで打診してみたら、即座に返事をくれてやる気満々で、彼女にも感謝しているわ。ほんと、めちゃくちゃクールな人なの(笑)。



アルバム・ジャケットはファーストとは全くテイストが違いますが、どのようなコンセプトのもとに撮影したのでしょうかか? 
このジャケットについては、言わば、マジカルなリアリズム、みたいなもので遊んでみたかった。何しろタイトルは『Forever Neverland』だし、さっきも話した通りに、ロサンゼルスという町を全編を貫く底流として位置付けている作品だから、ロサンゼルスで撮影したことは言うまでもなく、ブルーの空を背景に、どこか子供みたいな無邪気な要素を含んだヴィジュアルを目指していたの。ただ、子供みたいなところがありつつも、実は大人であることを仄めかしつつ。

ジャケットに限らず、このアルバムにまつわるヴィジュアル制作は本当に楽しかった。それに、確かに前作とは全然テイストが違うわよね。あの時はブラック & ホワイトでまとめることにこだわっていたの。その点今回はずっとカラフルで、私自身にとってもすごく新鮮で、うん、気に入っているわ(笑)。


日本にはすでに2度来て公演しています。2度の訪問を振り返って特に印象に残っていることはありますか?
ええ。ひとつじゃ済まないんだけど、まず日本に行った時のことを振り返ってみて最初に頭に思い浮かぶのは――厳密には東京の話なんだけど、日本全般にも言えることなんでしょうね――目に入る人みんなが、素晴らしいファッション・センスの持ち主だったってこと。あんなにも服を買うのにたくさんおのお金を使ったことは、あとにも先にもないわ(笑)。どのお店でも何かしら買いたいものがあった。なぜって、日本で売っているものはすごく親しみが持てるんだけど、どこかがひと味違って、ヒネリがあるのよ。クリーンなんだけどエキサイティングな要素が含まれていて。うまく言い表せないのよね。とにかく夢中にさせられたの。そして食事も最高だったし、デザインとか美意識においても素晴らしいし、本当に楽しかった!


最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
いつも応援してくれてありがとう! 日本の人はみんな親切だし、行くたびに心から滞在を楽しめたから、できるだけ早く、またみんなと会うためにそっちに行きたいと思っているわ!

 
M∅ の 2nd アルバム『Forever Neverland』は、DJ/プロデューサーの Diplo と再びタッグを組んだ楽曲で、Diplo 自身が「これまで一緒にやってきた中で最高の曲」であると絶賛している「Sun In Our Eyes」をはじめとする14曲が収録されている。フィーチャリングには What So Not、Empress Of、Charli XCX らが参加しており、超豪華な内容となっている今作は、アップテンポなエレクトロ・ポップサウンドに乗せた MØ の個性的な歌声が堪能できるアルバムになっている。
 

更に、国内盤には限定ボーナストラックとして、M∅ 最大のヒット曲「Final Song」、Diplo プロデュースの「Kamikaze」、Benny Blanco、Cashmere Cat、SOPHIE という豪華プロデューサー陣による「Nights With You」の3曲が収録される。

 
アルバムの発売を記念して本人が「好きな女性アーティスト」をセレクトしたプレイリストをSpotifyの「Girl‘s Collection」にて公開中だ。カミラ・カベロ、シルク・シティ、リタ・オラ、チャーリーXCXといった今のポップス・シーンの最前線で活躍するアーティストによる曲もあれば、彼女の音楽性に影響を与えたであろうスパイス・ガールズやマドンナといったポップス系や、クランベリーズやソニック・ユースといったロックやパンク系のアーティストたちの曲が選ばれている。​