2019年は、特に週末を狙ったかのように多数の大型台風が襲来し、日本全国各地に多くの被害をもたらした年となった。先週末、10月12日には台風19号(ハギビス)が関東を直撃、それに伴いスーパーやコンビニの棚からは買い占めにより食料品などが消え、街中の家の窓にはバッテンに貼られた養生テープが貼られていた。台風当日は大雨となり、全国で何人もの方が亡くなったり、家が浸水、車が流される等の大災害となったことは、ニュースの伝える通りである。


しかし、本来であれば過ごしやすい秋空の下、多数のイベントやフェスが開催されるこの季節。先週末も例に漏れず、全国で多数のイベントが予定されていたが「もし、台風がイベント当日に来てしまったら、イベントは一体どうなるのか」ということを、あまり予想していなかった方は多いのではないだろうか。

今回は、台風19号と丁度イベント開催が被ってしまった4つのイベントを例に挙げて、各イベントがどのような対応をしていたのか、Twitter 上での流れを中心にご紹介したいと思う。
 

“It’s a beautiful day” Camp in 朝霧JAM 2019

開催日:2019年10月12日(土)、13日(日)
会場:静岡県 富士山麓朝霧アリーナ・ふもとっぱら
ジャンル:オールジャンル
チケット払い戻し期間:10月15日(火)〜11月29日(金)まで 各プレイガイドにて
https://asagirijam.jp/news/20191009_02.html

朝霧JAMでの台風関連のインフォメーションは、イベント4日前の8日から始まっており、中止のお知らせは開催3日前の9日に発表。10月10日には、仕込みロスの出た飲食店が集うフェス飯救済イベント「幻の朝霧JAM 2019」開催のアナウンスが出されたのが、フェス飯が美味しいと有名な朝霧JAMらしい。
なお、チケット払戻しのインフォメーションが14日(月)の朝には出されており、この辺りの迅速さは、さすがフジロック等でフェス慣れしている SMASH が企画・制作に携わっていることを感じさせる。なお、チケット払戻し期間も11月いっぱいと長く、この辺りにも余裕を感じる。
 
 

長岡米百俵フェス~花火と食と音楽と~

開催日:2019年10月12日(土)、13日(日)
会場:新潟県 長岡市東山ファミリーランド
ジャンル:J POP 等
チケット払い戻し期間:10月15日(火)〜10月25日(金) 各プレイガイドにて
https://www.comefes.net/news/1254/

多数の日本人アーティストが出演する他、花火と食も楽しめるフェスとあって注目を集めていた長岡米百俵フェス。こちらのフェスで台風に関するインフォメーションが初めてツイートされたのはやはり3日前の9日。翌10日には12日(土)のキャンプサイト閉鎖のお知らせ、プレミアムサイト中止のお知らせと続き、11日の16:00 に開催情報を SNS にて発表するとの予告が。そして11日、両日イベント中止のお知らせが発表される。
「ファミリーで楽しめるイベント」を目指している長岡米百俵フェスらしく、安全面を第一に考えた対応となった。
 
 

モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019

開催日:2019年10月12日(土)、13日(日)、14日(祝・月)
会場:東京都 日本橋三井ホール他
ジャンル:ジャズ
チケット払い戻し期間:17日現在未発表、決定次第 SNS にて発表
https://twitter.com/MontreuxJazz

東京都内にて開催予定となっていた「モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン 2019」でも、やはり9日から台風に関するインフォメーションがスタート。いくつもの会場にて開催される同フェスでは、野外会場も多く、10日には全野外会場における12日の開催中止のインフォメーションが。11日には、野外会場だけでなく、12日に開催される全ての公演が中止となる旨が伝えられた。更に、12日には13日の開催についての開催時間変更のインフォメーションが投稿されたものの、結局13日には、13日の全ての公演がキャンセルとなってしまった。
なお、チケットの払戻しについては、webサイトには「アーティストのキャンセル等での払戻しはなし」という旨が記載されていたものの、台風による特定会場開催イベントに対する払い戻しはされるとのことで、払い戻し方法が決定し次第、SNS にて発表されるので、チケットは手元に保管しておくようにというアナウンスがなされた。
 
 

SOUL CAMP 2019

開催日:2019年10月13日(日)、14日(祝・月)
会場:東京都 豊洲PIT
ジャンル:HIP HOP等
チケット払い戻し期間:10月21日(月)~11月30日(土)
https://soul-camp.jp/#tickets

豊洲PIT という、都内のウォーターフロントというロケーションで開催された SOUL CAMP 2019 も、台風に関するインフォメーションはやはり9日からスタート。しかしその後、アーティストたちが無事来日したというインフォメーションが続々投稿され、また開催日が台風直撃が予測されていた12日ではなく13日・14日であったこともあり、参加予定者側も若干気持ちに余裕があったのではないだろうか。
結果的に数名のアーティストが飛行機が欠航となり、出演キャンセルとなったり、タイムテーブルの変更はあったもののイベント自体は無事開催された。
特筆すべきは、多くのイベントが出演者の変更やキャンセルによるチケットの払戻しはなしであることが多い中、SOUL CAMP は両日きちんと開催しているのにも関わらず、出演者の変更・キャンセルによるチケット払戻しに対応していた点。やはりイベント慣れしているクリエイティブマンが絡んでいるだけあり、カスタマーサポートが非常に優秀。

 
 

THE LABYRINTH 2019

開催日:2019年10月12日(土)〜14日(月)
会場:群馬 水上宝台樹キャンプ場
ジャンル:テクノ
チケット払い戻し期間:自然災害や荒天、アーティストのキャンセル等によるチケットの払い戻しなし
https://www.mindgames.jp/info-2

水上開催の老舗テクノイベント THE LABYRINTH も、やはり台風関連のインフォメーションがスタートしたのは9日。台風の危険性を配慮して土曜日の開催はキャンセルとなったものの、日曜からは開催することに。11日には、既に土曜に水上に宿を取っている参加者に向け、土曜のうちに移動するようにというインフォメーションが。更に日曜にはバス運行について等、情報のアップデートがこまめに行われていた。THE LABYRINTH は、海外にもその名を馳せるテクノイベントだけあり、Twitter 発信のインフォメーションでも日本語の他、英語でも発信して海外からの参加者にも情報を伝えていた。参加者も一緒になって盛り上げ、嵐の中でもなんとかイベントを成功させようと一丸となっている様子に、気合の入った音楽好きが多いレイブカルチャーを感じさせられた。
 
 
 
 
いかがだろうか。今回は、台風の直撃を開催日に丁度食らってしまったイベント4つを例に比較してみたが、それぞれかなり対応が違っている。

来年のフェスシーズンにも、台風がイベントと被ってしまう可能性は低くはないが、その場合でも、大概の情報はオフィシャルサイトまたはオフィシャルの Twitter や Facebook といった SNS をチェックしていれば随時入ってくる。
しかし、体力や体調、住居とイベント開催地等によって参加者各々の動き方は変わってくると思うので、一応「もし台風が来てもイベントが開催するなら、自分はどうするか」ということも考えておこう。



また、イベントがキャンセルになった場合、チケットが払い戻されるのか払い戻されないのか、払い戻されるなら条件や期間はどうなっているのか、という点については、うっかり見落としてしまいがちだが、チケット購入時に確認しておき、イベントがキャンセルになった際には必ずチケット払戻し期間をチェックすること。せっかく払い戻されるのに、万が一払戻し期間を過ぎてしまうと払戻しに対応してもらえなくなるし、思っていたよりも払戻し期間が短かった、という場合も多い(実際に筆者はその経験有り)。


気候の変動で、今後更に台風は大型化・強力化していくのではとも言われている中、イベント参加者も主催者側も「台風」に対する意識を頭の片隅に置いておいた方が良いかもしれない。


Written by きのや