現在チリでは、公共交通機関の料金引き上げをきっかけに、不平等、民営化された医療、低賃金、不十分な年金など、一般市民を取り巻く環境に対しての不満が強まり、政府に対する抗議活動が活発化してきている。

そんな中、100万人にも及ぶチリ人が、首都サンティアゴにて抗議のためにギターを持ち Victor Jara(ビクトル・ハラ)の「El Derecho de Vivir en Paz(平和に生きる権利)」を歌っている動画が話題となっている。

先週、チリの首都サンティアゴにて大統領 Sebastian Pinera(セバスチャン・ピネラ)の辞任を求める抗議活動が活発になり、約100万人が集結。その抗議活動の最中、詰め掛けた人々が、1973年に独裁者 Augusto Pinochet(アウグスト・ピノチェット)の兵士によって拷問され殺害された、シンガーソングライターで活動家の Victor Jara の「平和に生きる権利」を歌い始めた。
 

Victor Jara はラテンアメリカの大衆音楽「ファルクローレ」のシンガー・ソングライター、演劇人、舞台演出家。1960年以降にラテンアメリカ各地でムーブメントとなった、歌を通じて社会変革を目指す「ヌエバ・カンシオン」運動の旗手の1人として活動。連行された多くの市民を励まそうと、チリの革命歌「ベンセレーモス」を手拍子で歌ったことにより兵士に連行され、そこで銃殺された。
 

チリでの反政府抗議活動は、大統領の退陣を迫るまでに至ってきている。市内では暴力沙汰も多数発生しており、現在19人が死亡、非常事態宣言も発動されている。