2020年10月23日、東京地方裁判所はインターネットサービスプロバイダ「ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社」に対し、ファイル共有ソフト「BitTorrent」を利用してインターネット上に大量の音楽ファイル(音源)を継続して違法にアップロードしていた IP アドレスの利用者の氏名、住所等の発信者情報を、音源の権利を有する日本レコード協会​会員であるレコード会社に開示するように命じる判決を下したとのことだ。

また、11月16日、同裁判所はインターネットサービスプロバイダ「ソフトバンク株式会社」に対しても、同様の判決を下したという。

本件は当協会会員レコード会社がインターネットサービスプロバイダ17社を対象に、自らが権利を有する音源をファイル共有ソフト「BitTorrent」を利用して許諾なくアップロード(公開)している者に対し、著作隣接権(送信可能化権)侵害に係る損害賠償請求等を行うため、「プロバイダ責任制限法」第4条1項に基づき、インターネットへ接続していた45の IP アドレスについて、各利用者の氏名、住所および電子メールアドレスの開示を昨年9月から11月に求めていたもの。

そのうち36の IP アドレスについてはインターネットサービスプロバイダから任意に発信者情報が開示されたが、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社およびソフトバンク株式会社が同社のサービスを利用する IP アドレスの発信者情報の開示に応じなかったため、本年4月から5月にかけて東京地方裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起していた。


今回の2つの判決により発信者情報の開示を求めていた45の IP アドレスのうち、ログの保存が無かった2つの IP アドレスを除いた全ての IP アドレスについて発信者情報が開示された

日本レコード協会の会員であるレコード会社は昨年9月から11月の発信者情報開示請求によってインターネットサービスプロバイダから任意に開示された36の IP アドレスの発信者情報に基づき、代理人弁護士を通じて違法アップローダーとの間で「今後著作権侵害をしない旨の誓約」および「損害賠償金の支払い」に関する協議を随時進めており、本日までに31名のアップローダーと合意しているとのこと。本件訴訟により情報が開示された違法アップローダーに対しても速やかに損害賠償請求等を行う予定であるとのことだ。

日本レコード協会​および日本レコード協会​会員レコード会社は、音楽配信市場の健全な発展とこのような著作権法違反行為の撲滅のため、今後もファイル共有ソフト等を利用した権利侵害行為への対応を積極的に進めていくという。