人気 DJ/Producer の Four Tet(フォー・テット/本名Kieran Hebden)は、2001年にセカンドアルバム『Pause』のリリースのために Domino Recordings と契約、その後2003年に『Rounds』、2005年『Everything Ecstatic』、2010年『There Is Love InYou』をリリースしたが、今年8月、Four Tet は00年代にリリースされた自身の音楽ダウンロードとストリーミングの収益に適用されるロイヤルティ率について、Domino Recordings に対して訴訟を起こしており、自身が『Pause』『Rounds』『Everything Ecstatic』のストリーミング使用料の50%を受け取る権利があるところを、18%しか Domino から支払われていないと主張していた。

その主張を Domino は拒否し、2001年の契約の別の条項「レコード、CD、カセットテープ以外の新技術フォーマットで販売されたレコードに関しては、ロイヤルティ率は他の方法で適用される率の75%でなければならない」というものを持ち出して反論、更にその後ストリーミングサービスからその3枚のアルバムを勝手に削除、Four Tet は「(訴訟の進行を止めるために)削除されたことをレーベル(Domino)から警告された」と Twitter に書いており、それに対する怒りと悲しみについてもツイートしていた。

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先日12月16日、その問題がイギリスの知的財産企業裁判所で審理された結果、Four Tet による Domino に対する契約違反の請求は、訴訟の一部として進めることができる、という判決が下された。この正式な裁判は、2022年初頭に行われるとのことだ。

Four Tet の弁護士の Sam Carter は裁判所に対して以下のように述べている。

現在、デジタル分野での市場開拓は、サウンドレコーディングの主流の市場開拓方法であり、デジタル分野での市場開拓を拒否すると、著作権の残りの期間(70年)の間、それらのレコーディングが手付かずのままになる。

これは、レコーディング契約を結ぶ際の当事者の意図に根本的に反するものだ。(ストリーミングの)削除は、私の主張としては、意図的で冷笑的で法外な行為であり、少なくとも現在世界的に受け入れられている主流のメカニズムによって、クライアントのファンとこれらのマスターへのアクセスの世界を効果的に奪ったと言える。

2001年の『Rounds』の権利は、著作権の存続期間中、2071年に失効する予定となっている。Four Tet と彼の法務チームは、マスターの権利の返還を求めており、それが通ると、Four Tet は3枚のアルバムの権利を自身の手に取り戻すこととなる。

規制当局、業界関係者、および政府は、デジタル文化メディアスポーツ省(DCMS)コモンズセレクト委員会によるこの問題の調査の一環として、アーティストのストリーミング報酬を引き続き精査しているため、この事件は特に重要となってくるとのことだ。

10月に調査結果が発表された後、MP はアーティストが受け取る支払いの不平等に対処するために「収益の公正な分配に対する法律(アーティスト)の権利を強化する」という新たな法律の制定を求めた。
Four Tet の裁判の行方は、このストリーミング時代の紛争に関する大きな前例となる可能性があるとのことだ。