「Ableton Live」等を開発・販売するドイツの企業 Ableton 社の共同設立者である Robert Henke 氏が、Facebook にて昨今の音楽シーンの流れとして CD よりも レコードを重視する傾向が強まっていることに懸念を示した

この投稿の中で Robert Henke 氏は、自分も物理的な製品が好きであると認めた上で「物理的な製品と引き換えに大きなプラスチックの塊を大量生産することは、CDとは対照的に環境に大きな害を与えている」と主張。
Robert Henke 氏の長文投稿では、一般人が気づかないような事実や統計に裏打ちされた理由により、消費者がもっと CD のプラスの面に目を向けることを求めている。
 

「私はもうレコード盤でのリリースはしないが、CD は完全に受け入れることを検討している。最後の大きな物理メディアの革新で、より良い S/N 比※1、より良いチャンネルセパレーション※2、より良い周波数特性、より小さなパッケージという点で、(CD は)レコードより優れている」


またRobert Henke 氏は、新品のレコードがプレスされ、梱包され、世界中に出荷される際に環境問題が浮上すると述べている。

「配送は大きな問題で、燃料の価格が上がれば、更に問題となるだろう。輸送には、必要なインフラをはじめ、エコロジカルフットプリント※3 も伴う。我々は、より少ない量のものを世界中に輸送する必要があるのだ」


※1…信号雑音比。有効な信号成分(シグナル)と雑音(ノイズ)成分との量の比率で、この値が大きい比°信号の品質や機材の性能が良い)、
※2…左右チャンネルの音を、できるだけ混じり合わせずに再生すること。値が大きい方が、各チャンネルの分離が良いことを表す。
※3…人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値


他にも Robert Henke 氏は「CDは音楽ではなく、媒体だ。私は音楽を作るのが好きで、それを共有するのが好きなので、何らかのメディアを使う必要がある。CD はレコードよりも快適に感じる妥協だ」「レコードは総再生回数が最も少ないメディアだ。レコードは高級品だ。私の音楽を経験している大多数の人は持っていない。ストリーミングやダウンロードで私の音楽を受け取っている」と、レコードについて散々なコメントをしている。

しかし一方では、"中古レコード" に関しては「ビンテージレコードの売買は素晴らしい。 新しいものを作りたくないだけ」とも発言しているため、レコードの魅力についてを完全否定しているわけではなさそうだ。ただ、それを上回るだけの様々なデメリットが存在していることを周知したかったのだろう。