マサチューセッツ州ボストンにあるボストン大学が所有する公共メディア WBUR によると、2022年度の今年は7月22日(金)〜24日(日)の4日間にかけて、ロードアイランド州ニューポートにて開催されたフォーク・ミュージック・フェスティバル「Newport Folk Festival(ニューポート・フォーク・フェスティバル)」にて、ユニークな試みの小さな1ステージが登場し、話題を集めたとのことだ。


「Newport Folk Festival」はアメリカで最初の現代音楽祭の1つであり、更に1965年に、当時フォークシーンの No.1アーティストだったボブ・ディランがエレキギターを持って登場したことでも有名なフェスティバルである。
その音楽史に歴史を刻んだ出来事から57年が経った2022年、今年の Newport Folk Festival で大きな注目を集めたのは、来場者がステージ脇に固定された自転車を漕ぐことによって電力を得てステージに使用するという "バイク・ステージ" だ。


このバイク・ステージは、バージニア州出身の環境意識の高いインディーロックデュオ Illiterate Light(イリテレート・ライト)というバンドの発案により「Rock the Bike」という企業と提携して制作された "ペダル駆動サウンドシステム" を取り入れたもの。

▼Illiterate Light - Better Than I Used To

Illiterate Light のフロントマンである Jeff Gorman によると、この "ペダル駆動サウンドシステム" が公に登場するのは今回が初というわけではなく、既に小さなクラブショーでは使われたことがあるが、フェスティバル規模で導入されるのは今回が初の試みであるとのことだ。
 
このバイク・ステージでは、12組のアーティストが主にアコースティック・セットを披露。フェス初日の金曜日、フェス参加者1万人のうち、約1,300人が自転車に乗ってニューポートに集結した。
Jeff Gorman は、2019年の Newport Folk Festival に出演した際、同じように多数の来場者がフェス会場に自転車でやってきたのを目の当たりにし、パートナーの Jake Cochran と共に、 Newport Folk Festival のフェスティバル・ディレクター Jay Sweet に、バイク・ステージの設置を持ちかけたとのことだ。

「これは、彼らが何か違ったことをするための方法であり、我々がエネルギー問題について語り合うためのきっかけにもなり、単に電気を作るためのこれまでとは違う新たな方法を試すためのものだ」と Jeff Gorman は語っている。

ステージにはソーラーパネルも設置され、ほとんどの電力がそこから機材に供給されるが、残りは自転車により電力が作り出される。
ショーが始まると、ファンはテントに隣接する5台の自転車に飛び乗る。ペダルを漕ぐことで発電された電気は、ステージ上の電気ボックスに供給される。
 
約27度の気温の中、20分のステージのうち5分間は、ファンが交代でペダルを漕いで電力をステージに供給する時間となる。その間、自転車漕ぎを担当するファンには、スプレーボトルから水を吹きかけられ、アイスティーのサービスも。更に、自転車はステージのすぐ横に設置されているため、自転車を漕ぐファンはパフォーマンスを最前列で観ることができた。
 
Jeff Gorman は、Illiterate Light が自分たちのショーをより環境に負担をかけないものにする方法を探求するバンドグループの最初の一つであると語っている。他のバンドでもこのような試みを取り入れているバンドはいくつかあり、例えば Coldplay(コールドプレイ)も、ライブでキネティックダンスフロアのエネルギーを利用し、また固定式自転車で電力を蓄える等の試みをしている。

Jeff Gorman は以下のようにも語っている。

楽しい週末を汗だくで過ごして欲しいわけじゃない。
でも、5分間飛び上がることができて、この音楽を実現するための身体的な体験をすることは、楽しいことだと思うんだ。