毎週、Spotify(スポティファイ)、Universal Music Group(ユニバーサル・ミュージック・グループ)、Live Nation(ライブ・ネーション)等、20社の国際的な上場音楽企業等の主要銘柄を追跡するBillboard Global Music Index(ビルボード・グローバル・ミュージック・インデックス)の発表によると、2022年に入って、これら音楽関連上場企業の株価は、44%以上下落しているとのことだ。

ビルボードは、米国、オランダ、韓国、英国、ドイツ、フランス、中国(香港)の7カ国の取引所で取引されている20社の株式パフォーマンスのスナップショットを提供している。
このインデックスは時価総額加重型で、構成企業の相対的な規模を反映、また、各構成企業の時価総額は、企業、プライベート・エクイティ企業、企業幹部、取締役等の長期株主を除外するように調整されており、市場で取引されている株式をより正確に表しているとのことだ。

Billboard

このインデックスによると、10月5日時点の指数値は1,025.22で、2021年末の1,837.02と比較して、44.2%減少している。激しく下落したのは、第2四半期で、27.3%も下落している。

この、2022年の指数の値下がりは、株式にとって厳しい環境を反映している。ほとんどの音楽企業が過去最高の売上高または利益を上げ、世界的なトレンドも良好である一方で、根強いインフレと金利上昇が株価を低迷させ、一部の投資家が成長よりも利益に重きを置くようになっている。
例えば、この指数で最も価値の高い企業の一つである Spotify は、パンデミック関連のブームを受けて投資家がストリーミングに嫌気をさし、2021年12月31日から2022年10月5日までに60.9%下落している。Spotify は、2021年2月19日につけた市場最高値の346.59ドルから74.9%も低い水準である1株あたり91.40ドルの値段で現在取引されている状況だ。

パンデミック後のビジネスを活発に行うコンサート・プロモーターでさえ影響を受けている。第2四半期に過去最高を記録し、2023年に向けてライブ音楽への強い需要が見込まれているにも関わらず、米国のプロモーターで Ticketmaster のオーナーでもある企業 ライブ・ネーションの株価はこれまでに32.6%下落、CTS イベンティムの株価も28.5%下落している。

音楽コンサートは不況には強いかもしれないが、コンサート会社の株価も経済の激変から免れることはできない。今年の指数値の下落は、為替差益に起因している部分も一部あるとのことで、10月5日までにユーロは米ドルに対して13.1%、ポンドは16.3%、韓国ウォンは16.1%の下落を記録しているので、これらの国で取引される企業にとって、為替差損は既存の株価の下落を更に悪化させるものとなっている。