生成 AI がクリエイティブ経済を急速に変革する中、Association for Electronic Music(エレクトロニック・ミュージック協会/AFEM)は、合成音の時代において人間の芸術性を守ることを目的とした包括的な「AI 原則」を発表した。


EDM は機械から生まれ、イノベーションによって形作られたジャンルであるため、今や人工知能の世界的な評価の中心となっているのも当然なことである。
今年の IMS ビジネスレポートによると、AI 搭載音楽アプリは、2024年に合計6,000万人のユーザーを獲得し、エレクトロニック・ミュージック業界の価値は129億ドル(約1,871億7,0602万円)に達した。

40カ国300以上の会員を擁する AFEM は、変化を促進する独自の立場にある。彼らの新たな枠組みは、同意、帰属、保証という3つの基本的な要求に焦点を当てており、不正なデータスクレイピング、AI 生成音声、そして往々にして原作者を除外する不透明な収益モデルに関する懸念の高まりに対応している。

AFEM の経堂設立者であるクロシュ・ナセリ氏以下のように述べている。

生成 AI の問題は、関係者全員が、何が許容され、何が許容されないかについての合意された枠組みがないまま活動していることだ。

許容される生成 AI 運用のパラメータを定義するシンプルなコア原則を策定することで、クリエイターや既存の著作権の権利者の権利を侵害することなく、この新しい技術が発展できる環境を整備する。

AFEM がクリエイターの権利を基盤とした道筋を示している一方で、業界全体も方向転換を図っている。

かつて Suno や Udio といった物議を醸した AI プラットフォームに反対していたユニバーサル、ソニー、ワーナーは、最近大規模な著作権侵害で訴訟を起こしたまさにそのスタートアップ企業に、自社のカタログのライセンス供与について交渉中であると報じられている。

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これらの潜在的な取引は、生成 AI と著作権法がどのように共存するかについての初期の先例となる可能性がある。

しかし、AFEM の原則は、より慎重な再調整を示している。契約や法的明確性を超えて、クリエイターは著作者人格権を保持し、AI が作品に関与するあらゆる場所で適切なクレジットと報酬を受け取る必要があると主張している。

AFEM の最高成長責任者であるジェイ・アハーンは以下のように語っている。

エレクトロニックミュージックは常にイノベーションによって繁栄してきた。新旧の技術と純粋な人間の才能を融合させ、新しい音楽言語を生み出してきた。

我々は、AI がサウンドジェネレーターとしてだけでなく、音楽の発掘と識別を支援するツールとして、クリエイターと権利保有者の双方が創造性を発揮し、公正な報酬を得られることに期待している。