アメリカ最大規模のチケット販売会社である Ticketmaster（チケットマスター）は、同社が転売業者と共謀してチケット価格を不当につり上げていたとして連邦取引委員会（FTC）から提訴されていたが、それを受け、チケット転売を抑制するための新たな対策を複数発表した。

経済誌の Forbes によると、Marsha Blackburn 上院議員 と Ben Ray Luján 上院議員への書簡の中で、Ticketmaster の親会社である Live Nation（ライブ・ネーション）の Daniel M. Wall 副社長は「真のファンに渡るチケットの割合を増やす」ための対策を概説。同社は仲介業者のアカウントを、社会保障番号または納税者番号を使用した認証済みアカウント１つに制限、さらにボットによる購入を検知・キャンセルする AI ツールを導入するほか、FTC が "転売業者を増長するツールとして機能している" と主張する在庫管理ソフトウェア「TradeDesk」の使用を停止すると発表。
Ticketmaster は FTC の主張を「全くの虚偽」であると反論し、ボット対策に10億ドル以上を投資し、2025年4月だけで87億のボットをブロックしたと主張していることが報じられている。

FTC が7州に提出した訴状によると、Ticketmaster はオンラインチケット販売改善法（Better Online Ticket Sales Act）に違反し、元の販売者、再販業者、さらに再販業者からの購入者の３者から手数料を徴収することで、手数料の「三重取り」をしていたと主張している。

関連記事>>米司法省、Live Nation (ライブ・ネイション) と子会社のTicketmaster (チケットマスター) を独占禁止法違反で提訴

Ticketmaster と Live Nation が苦境に立たされたのは今回が初めてではなく、2024年には司法省が両者を独占事業として訴える別の訴訟を起こしている。
Live Nation は不正行為を否定し続けているが、同社の提案する改革案は、高額な転売価格と手数料の増大に不満を抱く音楽ファンからの信頼回復に向けた、これまでで最も大きな試みと言えるだろう。