ガーランド・ジェフリーズは最もニューヨークを感じさせるロックンローラーだ。ブルックリンの生まれ育ちらしい、ドゥーワップからレゲエまでのストリート・ミュージックをミックスしたサウンドで、黒人と白人とヒスパニックの血を引く生い立ちゆえ、差別にもあった現実をふまえたニューヨークという街の物語を歌い続けてきた。しばしば共演する長年の仲間たち、大学からの旧友ルー・リードやほぼ同期デビューのブルース・スプリングスティーンと同格に扱うべき存在である。今年でソロ・デビュー40周年というヴェテランだが、この数年に新たな全盛期を迎えている。日本の音楽ファンも是非とも今一度注目してほしい。
ガーランドは73 年の今も歌い継がれるストリート賛歌のヒットや77年の名作アルバム『Ghost Writer』で名を挙げたが、日本で広く注目されたのは、80年の『Escape Artist』だった。グレアム・パーカー&ザ・ルーモアやEストリート・バンドのメンバーが参加し、持ち前のストリート感覚がパンク/ニューウェイヴの時代と共振したロックンロール・アルバムとして評判を呼んだ。そこにはダブ詩人リントン・クウェシ・ジョンソンも参加していたが、ガーランドはあのボブ・マーリーに「本当にレゲエを歌える唯一のアメリカ人」と呼ばれた男でもある。
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