Fri, 07 Feb 2025
■インターネットから始まったサクセス・ストーリー
そもそものはじまりは2010年末、インターネット上に公開された3つのデモ音源だった。それぞれ「Loft Music」「The Morning」「What You Need」(完成版は全てミックステープ第1弾『House Of Balloons』に収録)と題されたこのデモは、ザ・ウィークエンドという全く無名のアーティストによってアップロードされており、その楽曲のクオリティのみによって早速一部の早耳リスナーや音楽ブロガー達の間で話題となる。とはいえこの時点では彼が何者なのかについてはほぼ全ての人が知るすべもなく、この音源自体がネット上でつかの間の成功を掴んだ数多い作品の一つだと思われていたのもまた事実。しかし翌2011年3月、ミックステープ『House Of Balloons』が無料配信されると、まずは英米の主要音楽メディアがこぞって同作を絶賛。続いて同郷のドレイクら人気アーティスト達も次々とラヴコールを送り、通常のR&B作品とはおおよそスタイルが異なる憂いと神秘性を持った彼の音楽は、多くの人々に受け入れられていった。
また、この頃になると、"ザ・ウィークエンド"の正体に関する情報は毎日のように音楽メディアのニュースとして大々的に扱われ、これがトロントを拠点にしている青年エイベル・テスファイによるソロ・プロジェクトであること、『House Of Balloons』は1枚で完結する作品ではなく年内に発表予定の『Thursday』『Echoes Of Silence』をもって完結する3部作の第1弾であることなどが次々と明かされていく。2011年7月には地元... More Biography