RIP SLYMEの全国ツアー「Tour of Ten」が、10月30日(金)、千葉県市川市文化会館 大ホールで初日の幕を開けた。

場内の熱気はスタートと同時に一気に上昇。アップナンバーで“JUMP”しまくり、メロウチューンで“ピース”な空気に包まれる20曲以上が披露され、会場に集まったファン満員のファン2000人を魅了した。

今回のツアーは、先月9月30日(水)に発売したメジャー通算10枚目のアルバム『10』を引っさげて全国のホールを巡行。ホールツアーは「STAR TOUR」以来、実に約4年ぶりとなる。

8作目の『STAR』をリリース後、5人はソロ活動に突入したため2012年のワンマンライブは恒例のクリスマスライブ1回のみ。次作『GOLDEN TIME』のときはクリスマスライブ2daysだけだったし、2013年の「DANCE FLOOR MASSIVE IV」は全国のライブハウスをロード。結成20周年を祝った昨年の「SINGLE JUKE BOX TOUR」も東名阪での開催だったため、今回は全国各地のリスナーが彼らのライブを久々に体験できる貴重なチャンスとなる。

最初のMCでRYO-Zも「ホールツアーは4年ぶり。オリンピック的なフェスティバルだと思って、最後まで思いきり楽しんでください!」と挨拶。「今日はハロウィンですが、いつもの自分を脱ぎ捨てて、何かに変身するがごとく楽しんで頂けますでしょうか!」と観客を扇動し、場内を盛り上げていった。

DJ FUMIYAが後方のブースから繰り出す問答無用にアガるビートと、4MCが楽しそうに掛け合うラップ、そして軽快なトークと自由過ぎる動き(でも、たまに繰り出される振り付けがチャーミング)で、会場にいる人すべてを心の底から楽しませるのがRIP SLYMEのライブ。キャッチーな彼らの曲は一聴してすぐにノレちゃう初心者にやさしい作りなため、「あまりRIP SLYMEのことを知らないんだけど…」なんていう人も、知らず知らずのうちに、ジェットコースターばりに加速していく熱狂と興奮の渦に巻き込まれていったことだろう。

今回の演奏曲目は、「POPCORN NANCY」や「JUMP with chay」などを収録した最新作『10』の楽曲を中心にしつつ、過去のナンバーも幅広い時代からセレクト。10というキリ番のアルバムということで、総決算的なテーマも垣間見える構成で楽しませた。メジャーデビュー曲の「STEPPER’S DELIGHT」やヒット曲の「One」といったお馴染みの曲から、久々にライブで披露された懐かしい曲もあり。聴き慣れた曲を今回のライブが初出となるカッティングエッジなサウンドにリミックスして聴かせる場面もあった。ライブ会場の大音量で聴くとCDとは印象が変わって聞こえる曲が多いのもRIP SLYMEの特徴。『10』の収録曲にもそういう曲があるので、自分なりに見つけていくのも一興だ。

また、心の高ぶりと場内のボルテージをさらに増幅させる増幅させる芸術レベルの照明使いもRIP SLYMEのライブの見どころ。耳だけじゃなく目でも臨場感あるステージを楽しませてくれた。途中にはRIP SLYMEのライブ史上初の試みとなる新企画も。各会場がどんなことになるか、楽しみにしていてもらいたい。

終盤、RYO-Zは「今日はメチャクチャ楽しいです。最高です!」とメッセージ。「街はにわかに賑わってきて、今日は特にいろんなイベントがあるはず。そんななかにも関わらず、俺たちのライブを選んでくれて感謝してます。わずかばかりの時間でしたが、今日はみんなと楽しい時間が共有できました」と挨拶すると、場内から大きな拍手が送られた。

本公演を皮切りにRIP SLYMEは全国17カ所20公演の全国行脚に出発。ファイナルは年をまたいだ来年1月9日(土)・10日(日)に日本武道館2daysで開催される。体験したことのない刺激に満ち、身震いするような興奮に包まれ、超かっこいいのに底抜けに楽しい。そんな誰にも真似できないステージで、夏フェスをはじめ数々の大型フェスをロックしてきたライブモンスター、RIP SLYME。その実力を遺憾なく発揮する今回のライブは、近年で最も威風堂々とした格の違いを見せつけるもの。その圧巻のステージをぜひホールサイズで味わってもらいたい。

ちなみに、RIP SLYMEのライブは開演時間ぴったりに始まるのがお約束。今回のオープニングも超ゾクゾクするから、必ず時間通りにいくように!



Text by.猪又 孝(DO THE MONKEY)
Photo by. 大石祐介