AP 通信によると、アメリカ・ネバダ州のブラック・ロック砂漠にて開催される世界的に有名な奇祭フェス「Burning Man(バーニング・マン)」が、2021年も新型コロナウイルスの影響でキャンセルとなったことは、アメリカ先住民への新型コロナウイルス感染拡大を防止するために良策となった一方で、一部の企業や観光当局は、このキャンセルによる経済的打撃を懸念しているとのことだ。


昨年度の開催キャンセルに引き続き、2021年も開催がキャンセルされた Burning Man には、例年であれば約8万人が参加し、彼らは推定6,300万ドル(68億9157万円)を費やすとのことだ。

リノ・タホ国際空港のスポークスマンである Brian Kulpin は「我々の世界には、今、Burning Man が必要だ。パンデミックからの脱却を祝いたいのなら、Burning Man は完璧だ。(しかし)昨年はそれを逃してしまい、今年も逃してしまいそうだ」と Reno Gazette Journal に対して語っている。

Washoe 群の地区保護管である Kevin Dick は、以下のように語っている。

「今年 Burning Man をキャンセルするのは難しい決断だったと思うが、一般の人々の安全と新型コロナウイルス感染のリスクを下げるという観点から、正しい呼びかけがなされたと思う」と述べている。
Dick 氏によると、保健当局は多くの地域で新型コロナウイルスの発生を確認しており「非常に感染力の強い新型コロナウイルス変異株が、予防接種率が低い地域で蔓延している」とのことだ。

アメリカ先住民は商売よりも新型コロナの感染拡大防止に理解

また、アメリカ先住民のピラミッド・レイク・パイウテ族の首長である Janet Davis は、ほとんどのバーナー(Burning Man 参加者の呼称)が、Burningu Man の開催地であるプラーヤの平原に行く途中、アメリカ先住民部族の居留地を通過するため、その際に新型コロナウイルスが居留地に拡散されるのではないかという懸念を表明。

Janet Davis は以下のように語っている。
「我々は人々を保護しようとしている。彼ら(バーナー)の流入は、我々の部族にとってリスクとなるだろう」

また Davis 氏は、今年初めに Burning Man 主催者と話し合った後、イベントが開催に向けて前向きに動いていると確信していたとのことだが、Burning Man のキャンセルについて、最近、予防接種率が低下したことと、国外からの参加者についてはっきりとしていないことがフェスのキャンセルにつながった可能性が高い、と見ており、また、Burning Man の開催キャンセルが、先住民の部族にとっても収入を逃すこととなっただろうとも述べている。


ホームセンターから食料雑貨店まで、Burningu Man の開催地から近いリノにある企業は、主に Burning Man のお陰で毎年8月に年間最高の収益となる。しかし、今年の Burning Man のキャンセルの決定について、ほとんどの地元企業は納得しているとのことだ。

ミッドタウンにある、バーナー御用達のファッション店を経営する Lisa Martin は、最近ではバーナーの多くがオンラインで買い物をするため、ここ数年、店はバーナーからの売上に依存することからシフトしているとのことで、
「私たちは、(ファッションよりも)家を飾るための装飾と、お香、たくさんのセージを入荷するようになった」と Lisa Martin は述べている。
 

Burning Man 開催キャンセルでも砂漠に集まるバーナーたちと、それを待望する地元企業

オフィシャルのイベントキャンセルの発表にも関わらず、「Gerlach」をはじめとするバーナーたちのコミュニティのいくつかは、プラーヤを訪れるバーナーを歓迎しているとのことだ。

昨年も、Burning Man 開催キャンセルにも関わらず、ブラックロック砂漠のプラーヤには、約3,000〜5,000人のバーナーが集った。
彼らの多くは、多くのアートインスタレーション、「ビークル」と呼ばれるアートカー、そしていくつかの仮の「Man(Burning Man のフェスのラストで燃やされる人型のこと)」を伴いプラーヤを訪れ、中にはこの集会を、愛情を込めて「Not Burning Man(燃えない男)」と呼ぶ参加者もいたとのことだ。


Burning Man 開催地付近にある温泉・Gerlach にレストラン「Bruno’s Country Club」を所有する Lacey Holle は、今年も同じよにバーナーたちが訪れることを望んでいると語っている。

「昨年の Burning Man シーズンは10月まで延長され、人々はここに来続けたんだ」

プラーヤの郊外にある約100人規模の町 Gerlach は、プラーヤに最も近い町だが、Gerlach にあるいくつかの企業は、Burning Man 開催の前月、翌月の収入を最大限に活用しているとのことだ。
昨年は、フェス開催時の例年の収益に匹敵することはできなかったものの、非公式バーナーたちからの収益は、少なくともある程度の収益となったようだ。
昨年、Burning Man 主催者はある程度のバーナーたちに砂漠での集会を思いとどまらせることに成功したが、今年はオフィシャルではキャンセルが発表されているものの、多くのバーナーたちがプラーヤを訪れると述べているそうだ。



通常、Burning Man 開催を監視する土地管理局の当局者は「現時点で、キャンセルされたイベントの開催予定だった週に、現場で特別な計画はない」と述べている。
昨年度、多くの土管理局職員は、訪れたバーナーたちが建造物を燃やさないよう、この地域をパトロールしていたという。

果たして今年の Burningu Man の季節はどうなるのか、各方面の関係者たちは状況を注意深く見守り続けているようだ。