毎日新型コロナウイルスのニュースが報道されるようになって早1年以上が過ぎようとしている。「新型コロナウイルス」に関する情報は、検索すればするほど山ほど出てくるが、情報が有り過ぎるあまり、どのサイトを見れば良いのか、どの情報を信じれば良いのか分からない……といった声も。

そこで、ここで今一度新型コロナウイルスそのものと、現在ある「変異株」について掘り下げてみた。
 

■ 新型コロナウイルスとは……?

WHO は、新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19(日本名称:新型コロナウイルス感染症)」と発表しており、また、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種であるとして、ウイルス名は「SARS-CoV-2」と名付けている。

厚生労働省 の発表によると、「新型コロナウイルス(SARS-CoV2)」はコロナウイルスのひとつで、コロナウイルスには、一般の風邪の原因となるウイルスや「重症急性呼吸器症候群(SARS)」、や2012年以降発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」ウイルスが含まれている。

そもそもコロナウイルスとは、人々が思っているほど珍しいものではなく、毎年冬になると患者が増える風邪の原因ウイルスのひとつであるが、しかし現在世界で大きな被害をもたらしている新型コロナウィルス感染症は「コロナウイルスの一種だが、今までと少し性質の違う新しいウイルス」であるとのことだ。

■ 新型コロナウイルスの「変異株」は何種類ある?

NHK によると、新型コロナウイルスはヒトや動物の生きた細胞の中に入り込み、細胞にある材料を使ってみずからの複製を作らせることで増えていくとのことだ。ウイルスの遺伝子が大量にコピーされ、何度もコピーを繰り返すうちに、遺伝情報を受け持つ RNA と呼ばれる物質の並びにごく小さなミスが起こるが、これが「変異」というものであるそうだ。

また新型コロナウイルスでは、感染を繰り返していくと2週間に1か所ほどのペースで小さな変異が起こることが、これまでの研究で分かっているとのことで、小さな変異でも遺伝情報の重要な部分に起こってしまうと、ウイルスの性質が変わってしまうこともあるとか。

以下が現在発表されている、日本で見つかった「変異株」ウイルスの種類だ。

1. イギリスで見つかった変異ウイルス……「アルファ株

2. 南アフリカで見つかった変異ウイルス……「ベータ株

3. ブラジルで広がった変異ウイルス……「ガンマ株

4. インドで見つかった変異ウイルス……「デルタ株

5. フィリピンからの入国者で報告のウイルス……「シータ株


また、厚生労働省の報告によると、インドで見つかった変異ウイルス「デルタ株」に更に新たな変異が加わった「デルタプラス」という変異種も、、6月25日現在これまでに日本でも6例が報告されているとのこと。

更に、ニューヨーク大学の多田卓哉博士研究員によると、去年8月に南米・ペルーで初めて確認された新たな変異株「ラムダ型」は「490番目のまったく違う新しいところに変異が入っている。3倍から4倍、ないしは5倍くらいワクチンの有効性が下がるのではないか」とのことで、ワクチンが効きにくい新型コロナウイルスの型として危険視されている。

こちらはまだ日本で確認されたという報告は6月25日現在ないようだが、チリやペルー、エクアドル、アルゼンチンなど南米を中心に29カ国で感染が確認されており、特にペルーでは感染者の81%がラムダ株であるとのことだ。
ラムダ型は、南米以外でもアメリカやドイツ、スペイン、イスラエルなどで感染者数が目立ってきているとのことなので、オリンピックで海外からアスリート・関係者含め9万3千人もの人々が来日する中で、日本での感染拡大が絶対に広がらないという保証はない。


なお、上記以外にも「変異種」は存在しており、免疫の攻撃から逃れる変異がある別のタイプの変異ウイルスで、2021年6月14日までに6770例というとんでもない数の変異種の種類が見つかっている。このタイプの変異ウイルスは感染力は従来のものと変わらないと考えられるものの、感染状況を注視する必要があるとしている。

 

■ 日本で発見された「変異株」

国立感染症研究所は、2021年5月23日時点のデータに基づいて出した推定では、日本国内でも各地で全体の90%以上がこの「アルファ株」に置き換わっているとみられるとのことだ。

ベータ株は、日本国内では、2021年6月21日までに24人から検出。
ガンマ株は、日本国内では、2021年6月21日までに82人から検出。

デルタ株は、厚生労働省によると、日本国内では2021年6月21日までに空港の検疫を除き、153人の感染が確認されているという。

■ それぞれの「変異株」に対するワクチンの効果は?

NHK のまとめによると、WHO がまとめている情報では、イギリスで報告された変異ウイルス「アルファ株」は、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンの効果への「影響はほとんどない」としている。

一方、南アフリカで最初に報告された変異ウイルス「ベータ株」や、ブラジルで広がった変異ウイルス「ガンマ株」については、抗体の攻撃から逃れる変異があることから、ワクチンの持つウイルスの働きを中和して抑える「効果が下がる」との研究が出されている。

インドで見つかった変異ウイルスのうち、最も感染が拡大している「デルタ株」に対するワクチンの効果については、発症を防ぐ効果が下がる影響はファイザーとアストラゼネカではほとんどないとしている。