Tech House シーンを牽引する日本の DJ / プロデューサー CARTOON(カートゥーン)が、アメリカ・ニューヨークの名門 ダンスミュージックレーベル Ultra records と日本人初の契約を結び、8月5日(金)にシングル ”All Night Long” で デビューを果たすことが発表された。

東京で最も大きな Tech House パーティのひとつである EDGE HOUSE のレジデント DJ であり、ラジオパーソナリティとしても活躍する CARTOON が、Steve Aoki や KYGO、deadmau5、Black Coffee など名だたる世界的プロデューサーの作品をリリースする米大手レーベル Ultra records からリリースすることは、日本のダンスミュージックシーンにとっても大きな一歩となる。

Photo by Masanori Naruse

 Cartoon は今回のリリースに関して、下記のようにインタビューにコメントしている。

今回は、『All Night Long』のリリースおめでとうございます! まずは、今回日本人初となる Ultra Records からのシングルリリースにあたっての率直な気持ちを教えていただけますか?

率直に嬉しい。念願。コロナ禍、本当にDJとしては海外の GIG もやれず、国内でも集客など厳しい状況下で、ダンスミュージックに向き合いスタジオに篭り試行錯誤し続けてきた甲斐があった。これまでにヨーロッパのレーベル、Cr2 や Ministry of Sound など契約惜しいところまでいっていたのに、コロナが始まり契約が実っていなかった中、自分自身が夢みていたアメリカのしかも NY 発の世界的ダンスミュージックレーベル ”Ultra Records” との契約なんだから。それも自分自身が一番愛し、TOKYO の現在進行形のクラブシーン、その最前線でかけられている ”TECH HOUSE” ジャンルでのリリースが決まったわけだから。


今回日本人初となる Ultra Records からのシングルリリースにあたっての経緯を教えていただけますか?

2018年の ULTRA の会場で、当時 Ultra Records の社長だった Patrick に偶然会った事がスタート。当時は自分の制作している楽曲が ”TECH HOUSE” というジャンルだと明確な意識もなかったし、最初は何度かメールで制作したトラックを送らさせてもらったり、やりとりをしていたけど、それは止まっていたんだ。そして自分の人生を変えてくれる PARTY ”EDGE HOUSE” が2019年に渋谷の SOUND MUSEUM VISION で開始され、自分も Resident DJ の一人として参加させてもらっていた。この EDGE HOUSE で毎回自分の制作したトラックをリハ前のサウンドチェックで視聴し、本番で DJ 中にプレイし、その週末にスタジオで修正するこの連続ができた事で世界でも闘える TECH HOUSE トラックのデモのアイデアが数多く固まっていった。そして、Patrick は私のことを覚えてくれていたかは定かではないけど、Ultra Records の So からの Push があって、彼が Patrick に VISION のフロアで鍛えられた All Night Long のトラックを聴いてみてもらった時、「TECH HOUSE は今の Ultra のフォーカスオンだよ、いいね」とメールがかえって来たんだ! 本当にそのメールが返って来た時はエキサイトしたし、大興奮だったよ。

リリースまでの道のりで苦戦したことなどがあれば教えてください。

これは当たり前のことだとは思うけど、あえてこれからの世代の DJ の為に伝えたい。トラックは自分一人でこねくり回していても強くならないというか、成長しきらないんじゃないかと。完成してなくてもダンスフロアでかけてフロアのお客さんの様子をみて、スタジオエンジニアさんに相談して大きな音でスタジオで鳴らし、前日のフロアの鳴りの修正をする。勿論一人でもある程度は再現はできると思うけど、ダンスフロアのお客さん、スタジオスタッフ、エンジニアがまずは一緒になってくれないと難しい。自分にはそうだったな。Defected、Simma Black など著名レーベルからヒット作を出しているイタリア生まれでイビザなど本拠地とする Black Legend に私の曲の ”I Like Money” を Remix してもらった時、もう本当に何度も、「音が Thin (薄い)」「大きな音で聞いてるのか!?」と叱咤激励されて、ローとミドル音域の分離や重たくも広がりのあるキックの作り方は、一人ではなく、誰かと作業することで発見と成長があるってことに気づいた。友人アーティストやレーベルの A&R から意見を聞いたり、分業とか共創って案外大変なんだけど、そのあたりも念頭に世界中のダンスフロアの中での ”自分の音” の輪郭を完成させていくこと。それが一番難しいし、苦戦した。でもそれによって音が強くなるし、今回はその一連の過程を Ultra recodsのワールドワイドなクルーとやれたことがまた”音の成長”に繋がったと思う。

この一曲を通してどのようなテーマやメッセージを意識されたでしょうか?

“All Night Long” まさにそのまま。自分自身、夜が大好き、その中でも真夜中のクラブのダンスフロアで朝に向けて何かが起こるかもしれないという期待感をトラックに表現したかった。ピークタイムに向かう一歩手前の0時前後のダンスフロアに対する抑えられない期待感。ボーカルネタもストレートでわかりやすく、The ”TECH HOUSE” というパッと聞いて耳覚えが良いように輪郭もしっかり残し仕上げている。実は、半年前からこの “All Night Long” の一部を自身がHOST MC を務める InterFM レギュラー番組(月〜金曜の19時〜20時)”sensor” の冒頭の BGM で使っているのでリスナーは「お、このビートは!?」となってくれて、サブスクライク、ラジオライクにもなってると思う。勿論、Beatport で WAV で購入してもらえたら、フロアでローがしっかり下支えしながらも、ドンシャリと全体で鳴ってくれるサウンドに仕上がっているので世界中のダンスフロアで、DJ の皆さまにはプレイしてもらいたいよ。

ここ2年間のコロナ禍というのは CARTOON さんにとってどのような影響を与えたでしょうか?

まずは自身のラジオでも話しているけど、私、コロナ罹患で重症化、死にかけてるので。2ヶ月入院したし、それで人生変わったというか転換点。明日死ぬかもしれないので、もうやりたくないことは一切やれないというか、やりたいことだけをしっかりやって生きようと思った時、やっぱり「ダンスミュージックつくりたいな。」って。それでスタジオのエンジニアやスタッフと篭る毎日で、その中で DJ することもできない、クラブにもいけない中、妄想ダンスフロアを頭の中で再現しながら集中して出来上がったのが ”All Night Long”。そしてこのトラックが、Ultra records に認めてもらえた。DEMO が出来上がって、現場復帰してからトラックがミックスダウン完成に向かうまでに、ともかく VISION の GAIA のサウンドシステムで目一杯鳴らしては修正してを繰り返し、音が鍛えられてリリースに漕ぎ着けられた。本当にコロナ禍の奇跡って言っても過言じゃないし、罹患して死にかけてなかったらこの音作りの領域に達してなかったかもって今でも思うよ。不幸中の幸い(笑)今となっては笑えるけど。

コロナ禍で日本のダンスミュージックシーンがなかなか盛り上がりを見せられない日々が続きましたが、その中での海外レーベルからのリリースというのは CARTOON さん、またシーンにとってどのような影響があるとお考えですか?

Ultra records って、勿論 Youtube の登録者数2800万人、世界最大クラスのアメリカ NY 発のダンスミュージックレーベルだと思うんだけど。出してる ARTIST や曲も凄くて、Calvin Harris の ”You Used to Hold Me”、deadmau5 の"Moar Ghosts N Stuff” から、Ultra records からのリリースでグラミーを受賞した Black Coffee、最近は TECH HOUSE のスーパースター Solardo や John Summit もリリースしてるレーベルだからね。勿論、日本で契約できたのは初って聞いているけど、Cartoonとして彼らとレーベルメイトになれるんだから、影響力というか夢があると思う。自分が拠点としている東京、渋谷からまた世界のダンスミュージックシーンにコネクトできる HUB になれたらと思うし、InterFM の番組企画で発足した sensor label でもオーナーとしても、これからも日本の新しい才能を世界に対して発信していきたいと持っていたから、それも連動もできる可能性もあるし楽しみ。というか、早く Solardo 先生に、レーベルメイトとして REMIX の打診をしたいです。して欲しいと、勝手な希望は Ultra records に伝えてあります。

2022年に入ってから CARTOON さんがレジデントを務める EDGE HOUSE でも Mercer を招聘したり海外アーティストの来日が徐々に増えてきたことなど、ダンスミュージックシーンがコロナ禍以前の盛り上がりに戻ってきましたが、CARTOON さん自身の活動に何か変化はあったでしょうか?

このインタビューに答えている前日にちょうど PRADA の PARTYで Richie Hawtin さんをご紹介頂き、少し立ち話をしたのだけど、ヨーロッパもイギリスやスペイン、オランダなどはもう完全にダンスミュージックの熱は戻ってきており、彼も翌日には日本から次の GIG にとばなければならないぐらい大忙しだと。私自身も、2019年にオランダ人のエージェントとアジアリージョンに関して契約をし、その収益次第で欧米も狙うという予定だったので、2022、2023年はリリースは Ultra records の今回のエクスクルーシブの契約の下、リリース曲数を増やし、そののちまた海外エージェントとも交渉して、海外移住も含めて活躍の場所を探していきたいと思っています。

海外レーベルからのリリースをきっかけに、CARTOON さん自身も海外に向けた活動など行われているのでしょうか?

まず第一には Ultra records からのリリースを継続的にし続けていきたい。一度契約したからといっても、それが簡単に続くわけではないし、厳しい Ultra records のリリース基準をクリアした楽曲を毎回仕上げなければいけないといけないこれは本当にプレッシャーだけど、全力で楽しみながらグローバルレーベルに挑戦していきたい。リリースをきっちりやりながら、国内は ”EDGE HOUSE” などレジデントを務める PARTY で DJ をしっかりやり、可能なら大型フェスでの DJ も狙い、海外に関してはこれまでも招聘してくれている韓国、インドネシア、ベトナムなどはリリースタイミングで現地の、WOMBで共演している韓国の DJ の KYPER や、Ultra records のレーベルメイトのインドネシアのスター DJ の Dipha Barus などと一緒にツアーもやってみたい。勿論海外のエージェントとの仕事も欧米は視野も入れて3年スパンぐらいで活動を地に足をつけて海外戦略含めて考えていきたい。

CARTOON さんにとってこの曲がどのような人に届いて欲しい、聞いて欲しいでしょうか?

全世界の TECH HOUSE 好きに聞いてもらいたい。そしてリリース日の8/5の ”EDGE HOUSE” @ VISION に集まるお客さんに全身で GAIA のサウンドシステムで浴びて欲しい。

最後に、今後の活動に関して教えてください。

まずは ”All Night Long” をどこまで、世界中の人が聴いてくれて、世界中の DJ が各国のダンスフロアでかけてくれて、世界中のダンスミュージックラバーに届くのか、そこが一番のチャレンジです。次の作品も(※タイトル未定)既にミックスダウンは終わって、Ultara records からのマスタリングが上がってきたら GO なので、REMIX も含めてよりグローバルに発信していきたい。同時平行で、日本全国 DJ は飛び回って、今年は ADE(アムステルダム)も来年は WMC(マイアミ)にも必ずチャレンジしていきたいと思う。

■リリース情報 
アーティスト: Cartoon 
タイトル: All Night Long 
配信日: 2022年8月5日 (金) 
仕様:デジタル・SG 


■アーティスト情報 
CARTOON​


東京を中心にテックハウスを軸に活動している DJ / プロデューサー ”CARTOON”。東京の人気クラブ、WOMB や vision で開催される、自身がレジデントを務めるパーティーである「WORLD-MARKETZ」と「EDGE HOUSE」では、過去には Dubfire, claptone, Mark Night, Roger Sanchez, WILL CLARKE, The Cube Guys 等の外国人アーティストたちと共演し、大成功を収めている。
昨年より DJ MAG JAPAN の Official Party に DJ として参加し、DJ MAG JAPAN PLAYLIST に楽曲がピックアップされるなど、大きな支持を集めている。また、楽曲制作にも力を入れており、PKCZ の JOMMY とコラボした ”Be All Right”、HOWIE B にリミックス された ”Locking System” など国内外の著名アーティストと共作を行い、海外のテクノ、ハウスアーティストからも 注目を浴びている。また、ソロユニット CATN として、”good morning ▲▲▲” が雑誌 “BLENDA”の 表紙のメイキング動画楽曲に採用された。 
昨年6月にリリースされた ”Can’t Stop Now” は、Spotify Japan の ”Tokyo Club Beat” でトップに選ばれ、さらに同年8月にリリースされた ”Be All Right” も ”Electropolis” でもトップに選ばれるており、Apple Music でも軒並み最新ソング:ダンスプレイリストに選出されている。 
DJとしてだけでなく、ダンスミュージックファンからの圧倒的な支持を受ける InterFM の番組 "sensor" の人気 MC としても活躍している。
音楽だけに留まらず、ファッションなど幅広い分野に影響を与えており、 2019年には音楽、ファッション、カルチャーへの貢献度が高い日本におけるインターナショナル DJ として、GQ JAPAN の特集にも選出された。 


-ULTRA RECORDSとは? 
ULTRAは、Ultra Records、Ultra Music Publishing、Empire Artist Management、そして Ultra Music Festival との戦略的提携から成る、エレクトロニック・ダンスミュージックのトップブランド。1995年に元 Polygram と Virgin Records の重役である Patrick Moxey によってニューヨークで設立された。
Steve Aoki, SOFI TUKKER, Icona Pop, Anabel Englund, Era Istrefi, Deorro, Klingande, NGHTMRE, Black Coffee, DVBBS, filous, Mako, Carnage, Karen Harding, Chris Malinchak, Bakermat, MK, Benny Benassi, Haux, Tisakorean, OMI, Bearson といったアーティストが現在 ULTRA RECORDS に所属している。