シド・ザ・キッド(Vo)とマット・マーシャンズ(Key)によって結成されたR&Bバンド、ジ・インターネット。前売り券は全てソールドアウトと報じられていた通り、場内は彼らの来日を待ちわびていたファンで満員状態。定刻を少し過ぎたころ、マットをはじめ、最新作『エゴ・デス』から正式メンバーとなったパトリック・ペイジ(Bs)、クリストファー・スミス(Ds)、ジャミール・ブルーナー(Key)らが登壇。そして「ゲット・アウェイ」のイントロが鳴り響くと同時に、主役のシドがステージに現れた。『エゴ・デス』をなぞるように「ギャビー」「アンダー・コントロール」と順に演奏していく。まず、何より印象深く響くのはシドの美しい歌声だ。ファルセットに近い高音と、地声のような低音をクルクルと変化させながら歌い紡いでいく。そして、細い体躯ながらバンド・メンバーを率いて歌う姿は最高にハンサム&クール!少女のような繊細なヴァーカルと、ときに過激で衝動性の強い歌詞とのアンビバレンスさがシドの魅力であるが、実際にその世界観がステージで具現化されたときのインパクトの強さは見事。彼女の中性的なパーソナリティ(余談ではあるが、彼女は同性愛者であることを公にしている)ともあいまって、ロマンティックさとタフさが同居するパフォーマンスで観客を魅了していった。なかでも「ラヴソング-1」や「ガール」をパフォームした際のエモーショナルな雰囲気は特筆モノ。かと思えば、現代社会を憂いた「ペントハウス・クラウド」では力強いスピット風の歌声を聴かせ、「スペシャル・アフェア」や「カース」ではソウルフルなアドリブも飛び出す。もちろんバンド・メンバーとの相性も抜群で、なかでも、しばしばステージ全景を見渡すマットの目つきはまさにプロデューサーのそれといった感じだし、天才ベーシストと名高いサンダーキャットを実兄に持つジャミールも、終始笑顔で超絶鍵盤プレイを披露。リラックスした雰囲気でメンバーとやり取りしているシドの姿も印象的だった。終盤は前作『フィール・グッド』からのシングルとしてもお馴染みの「ドンチャ」でオーディエンスを最高潮に沸かせ、ラストはデビュー・アルバム『パープル・ネイキッド・レディース』からの「ザ・ガーデン」をパフォーム。シドがステージから去ったあともバンド・メンバーがしばらく演奏を続け、多幸感溢れるグルーヴで公演を締めた。時間にして約60分、アンコール無しのタイトなショウ。瑞々しさ、そして、いい意味で青臭い青春のようなヴァイブスが溢れる彼らの演奏。これから、彼らのソウルと音楽性がどのように熟していくのか非常に楽しみだ。
渡辺志保
Thu, 21 Feb 2019
WONK x MALIYAによるThe Internetの「La Di Da」極上カバーのミュージック・ビデオが公開
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