新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な流行は、様々な分野に深刻な被害を与えているが、意外なところにも被害が及ぶかもしれない。

新型コロナウィルス拡散防止のため各国で外出禁止令が出されている今、コンドームの需要は世界中で非常に高まっているようだ。

マレーシアを拠点とし、世界に流通するコンドームの主要な製造メーカーである Karex Bhd の最高経営責任者である Goh Miah Kiat 氏によると、コンドームの重要は二桁の成長を遂げているとのことだ。

Karex Bhd ホームページより

Karex Bhd は年間50億個のコンドームを製造しており、世界のコンドーム供給の20%を占めている。また、そのクライアントには International Family Planning といった国際団体や Durex といったグローバルブランドが含まれている。

オーストラリアでは金融大臣によるロックダウンの可能性を示唆するコメントが発表された後、コンドームの売り上げが3倍に、そしてアメリカの賭博サイト SportsBettingDime.com によると、アメリカでは有名コンドームメーカー「TROJAN」の株価が上昇し、その原因としてCOVID-19 感染拡大による「恩恵」を受けている可能性が挙げられている。

更に、アメリカの新生児専門医団体 Millennium Neonatology の Kevin Kathrotia 医師は FOX Business に対し、普段多くの若者がバーやレストランにゆく以外にすることがないため、それができなくなった今は「Netflix and chill(直訳は「ネットフリックスを見てくつろぐ」という意味だが、インターネットスラングの一種で「SEX をすること」を意味する)」しかすることがなく、新型コロナウィルスによるパンデミックから約9ヶ月後に出生率が増加するのではないか、と語っている。


なお「一般的な使用方法」による世界的なコンドーム需要の一方、全く別の使用目的のための購入も増えているようだ。
オーストラリアを拠点としコンドームの通信販売事業を展開する CondomSales は、アジア圏ではコンドームを手袋代わりに使用するという新型コロナウィルス予防法が SNS 上で話題となったため、更に需要が高まったのではないか、とコメントしている。
 

高まる需要の一方で、コンドームの供給が滞ってしまうのではないかという悲報も報じられている。

上に挙げたコンドームメーカー・Karex Bhd の Goh 氏は、中国とインドの政府による都市封鎖(ロックダウン)のため、同社の工場の一時的な閉鎖を余儀なくされ、ロックダウンから10日後の3月27日金曜日には「重要産業の特別免除」の一環として操業を再開したものの、マレーシアの封鎖規制により労働者の半数しか配置することができず、その結果、コンドームの価格が大幅に上昇する可能性があると警告した。


Goh 氏は「我々は、依然として全ての労働者に給料の全額を支払っているが、労働者は半分の時間しか働けないため、一般的にコストが増加している」とコメントし、更に 「需要の半分を維持するのにも苦労することだろう」「世界中でコンドームが不足する事態となるだろう」とも語っている。

Karex は、スパイシー味、ドリアン味、ミルクティー味といった味付きのユニークな独自ブランドコンドーム「ONE condoms」も製造しているが、コンドームの備蓄はあと2ヶ月分しかないとのことだ。

このコンドーム需要は世界的なものであると様々な方面からのコメントが相次いでいるものの、しかしここ日本はおそらく例外となるのではないだろうか。マスク、トイレットペーパー、缶詰等の買い占めは横行しているが、コンドームの買い占めだけは起こらなさそうな気がするが……。