イギリスの音楽産業の危機的状況について、連日のようにお伝えしているが、本日もまた辛すぎるニュースが飛び込んできた。

イギリスの音楽関連のニュースを配信するウェブサイト、MusicRadar によると、「ライブ音楽業界の売り上げは、2020年、81%減少となっており、2021年に完全復活する見通しは低い」という新たな調査結果がイギリスにて報告された。

2019年度のライブ音楽業界の売上高は約4.5億ポンド(日本円:約619億円)で、イギリスにかなりの経済効果をもたらしていたが、2020年は81%の売上げ減少となった。

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当然、その結果は音楽業界の会社やその従業員に影響を及ぼし、イギリスのライブ音楽業界では、クリスマスまでに約半数の正社員が職を失うと予測されている。
また、既に約14万人以上のフリーランスや契約社員、アルバイトとして働いていた従業員たちが、新型コロナ以降の厳しい規制により営業できなくなったクラブ閉鎖やフェスキャンセルなどのため、職を失っている。

イギリスのライブ音楽業界グループが報告したレポートによると「クリスマスまでに、イギリス政府の介入がなかった場合 26,100名の正社員が解雇されると予測されており、パンデミックにより音楽業界では合計約161,000人以上が職を失うとことになる」とのことだ。

また、イギリスの個人経営のクラブは、2019年と比較し、75%も売上げが減少。更に、技術を提供するサービスプロダクション会社やPA、照明技術、その他の設備関係といったライブに関係する企業が最も打撃を受けており、その売上げは2019年と比較し、なんと95%も減少したとのことだ。


イギリスのアーティストの収入は平均で 64% 減少となっているが、アーティストは「平均」化できるような職業ではなく、一括りにすることはできない。

非営利団体でアーティストを支援する団体 Features Artist CoalitionCEO / David Martin(デイビッド・マーティン)氏は、以下のように述べている。

アーティストは、それぞれが独自のユニークなビジネスモデルで働いていており、それがアーティストと周りのチームを支えている。2020年、アーティストたちは約65%の売上げ減少となりかなりの打撃を受けているが、それは均等に分散されておらず、多くのアーティストはほぼ100% の収入を失っている。

報告書は、2021年の急速な復活に対して疑問を投げかけており、例え復活したとしても来年の春以降になるとの見解を述べている。