EDM シーンの次世代アーティストの中でも、一際飛び抜けた才能と魅力を感じさせるフィメール DJ、moe。現在まだ若干21歳の彼女だが、15歳で DJ をはじめ、これまで日本人最年少で ULTRA EUROPE、ULTRA AUSTRALIA、ULTRA JAPAN、EDC JAPAN、WIRED MUSIC FESITIVAL と、数々の大型フェスに大抜擢されてきた、早熟なアーティストだ。


そんな彼女はこのインタビューの中で、オシャレが好きで、友だちと遊ぶのが好きで、ちょっとサボり癖もあって……という、ごくごく普通でチャーミングな女のコの表情を見せてくれたが、そんな中にも、ふとした瞬間に音楽シーンについてズバリ核心をつくような鋭い意見を何気なく放ってくる点は、さすが若くして日本ばかりではなくグローバルな活躍を見せるアーティストであると納得させられるものがあった。

moe の目から見た、日本のクラブシーン、アジアの音楽シーン、そして彼女が注目するオシャレやカルチャー、音へのこだわりなどについてを、フィンランド発の高音質スピーカー GENELEC デモルームにてインタビューした。


 

ヨーロッパツアーを通して moe が感じた、日本と世界の「違い」と「違いのなさ」


iFLYER:ヨーロッパツアー、お疲れ様です。あちらでのオーディエンスの反応はどうでしたか? 日本と違いましたか?
moe:今って、SNS 等を通じて他の国の人とも繋がりやすくなってるし、皆同じようなバイブスを持っているので、違いはあまり感じなかったですね。ノリも一緒だし、流行っている曲も一緒でした。


iFLYER:ヨーロッパで衝撃を受けたことなどは?
moe:オランダの田舎で開催された、Matrix Music Festival というフェスで DJ したんですが、そこで衝撃的だったのが、若者がとにかく多かったこと。若い人たちが、皆自由に踊ったりしているのを見て、良いなぁ、と思いました。東京でも、そういった若者による一体感のあるパーティーを作っていきたいですね。


iFLYER:ヨーロッパでのツアーで印象深かったことは?
moe:パルーカビルというドイツのフェスに出演したときには、お客さんと私の空気がぴったりハマって、良い雰囲気が作れました。Tomorrowland での出演は、オープン直後だったので正直人はいなかったけれど、Tomorrowland のステージでプレイしていることで凄くテンションが上がって、逆にやりたいことがやれたし、今の自分を全部出し切れましたね。

あとは、有名な DJ と喋ったことはもちろんですが、ドイツやベルギーでローカルの DJ と繋がったのが嬉しくて。流行っている音楽や、どこのクラブが良いとかいう話を聞けたり、一緒にフロアを巡ったりしましたが、人間的な温かみをとても感じました。
 

moe が気になるアジアのクラブシーン & ファッション事情

iFLYER:moe さんのイベントに来るお客さんのファッションは? また、moe さん自身のファッションへのこだわりを教えてください。
moe:私がプレイするイベントには、Alison Wonderland(アリソン・ワンダーランド)や Mija(ミハ)みたいなファッションの子が多い印象です。私も最初の頃はそういったファッションを参考にしていましたが、今は、最終的には Tシャツとデニムだけで格好良く見える DJ になりたいですね。DJ するときは、指輪は絶対に着けます。手元を格好良くしたいので。

ブランドにはそこまでこだわりはありませんが、ASHLEY WILLIAMS っていう、デザインが過激なロンドンのブランドがむちゃくちゃ可愛いなと思います。DJ とかで着たら映えそうですね。グランジ系の音楽やファッションが好きなので、敗れたデニムやピストルズのカバンとか買いがちですが、後はタイのバンコクのパンクスの人たちがむちゃくちゃオシャレなので、参考にしています。
 

iFLYER:タイのファッションが凄いというのは、どこで知ったんですか?_
バンコクのファッションカルチャーについては、東京の「カオティック」というブランドのパーティーがバンコクで開催されている、というのを知って、それがきっかけですね。バンコクにはパンクスが多くて、パンクカルチャーが盛り上がっています。バンコクの人は皆凄いオシャレですね。市場に行くと、ロックTやスタッズの付いたライダースなどがたくさん売っていて、私もそういったところや、友人のやっている「ビーダ」というブランドで買い物したりしますが、値段も市場だとかなり安いですね、Tシャツ1枚600円くらい。

iFLYER:バンコクの音楽シーンはいかがですか?
私がそっち方面のパーティでしか DJ してないのもあるから一括りにはできないけど、EDM が日常的に流れてる街という印象です。EDM 系のクラブ自体箱も大きいし、人も沢山入ってるのはもちろんで、街中でもよく流れてるのを聴きますね。路上でスピーカー置いて EDM かけてお店で子供が踊ってるのもよく見たし、それに対して誰も警察も文句言わない自由な所が素敵ですね。
面白いなと思ったのはただの EDM じゃなくタイ語と EDM が組み合わさった、タイオリジナルの EDM みたいな音楽もよく聴きました。


 

これから DJ になりたい人へ…… moe が物申す!

iFLYER :ギャルサーに入っていたのがきっかけで DJ になったとのことですが。
moe:超ギャルでした。私、マジでギャルでした。ギャルのイベントで DJ をやるようになったんですが、週7で集まって、更に週1で新宿の記念館みたいなところにミーティング室を借りて、イベントについて話し合いをするんですよ。私、学校へはあまり行ってなかったんですが、ギャルサーは上下関係が超厳しくて、そういうのもギャルサーで学びました。真面目なんですよ、ギャルサー。DJ も毎日のように練習してました。


iFLYER:DJ をする際のこだわりは?
moe:強めのトラップや激しいダブステップといったイメージを持たれていることが多いですが、それが続かないように、絶対にメロディアスでエモい感じの曲を挟んで入れるようにしています。その方がストーリーを持たせることができて面白い。聴いていて、楽しいし泣きそう、みたいな、様々な感情が沸き起こるような DJ をするように心掛けています。あとは、お客さんに寄り添うことはもちろんですが、自分がやっていて楽しい、ノレるしグッとくるような DJ をしたいですね。
 

iFLYER:EDM が好き、DJ に憧れているといった若い人たちからすれば、moe さんはまさに憧れの存在ですが、なぜ moe さんはここまで登りつめることができたと思いますか?
moe:根拠のない自信とか、かな……。10代の頃、自分がやりたいことや将来の夢を紙に書いていたら、結構全部それをクリアしていたんですよね。「私じゃダメだ、なれない」と思わずに、絶対にこれに出る、そのためには、じゃあ今何をしたら良いのかな、みたいなのを考えていけば、みんないけると思う。自分が何をしたいかを決めて、そうなると思い込む。私も本当は、超サボり癖があったり面倒臭がりなんですが、そう思い込んでやったら、意外と苦じゃなくできます。楽しみつつ、頑張ってやろうって感じです。


iFLYER:DJ になりたい、という人にアドバイスをください。
moe:いつも聞かれるんですよ。どうしたら良い?って。だから、私も DJ 機材を安く買えるサイトとか、オススメの DJ とか DJ のやり方とか、結構教えてるんですけど、本当に DJ やる人って、その中の2割ぐらいしかやらない。皆、もっとちゃんと DJ を始めて欲しいです!(笑)
 

自身の成長と、moe の目から見た日本のクラブシーンの現在と未来

iFLYER:2016年の Ultra Japan 初出場から3年、2019年の Ultra Japan はいかがでしたか?
moe: 今までは自分の好きなようにやってきたけど、今回はお客さんにも寄り添う精神みたいなのを意識してやりました。今回の Ultra Japan では、知識が豊富な若い層の EDM ファンが増えた印象がありますね。みんなドロップで歌ったりしていて、良いなと思いましたし、私ももっと勉強しないと……という焦りもあります。そのピュアな心を忘れちゃいけないな、みたいな感じがしますね。


iFLYER:moe さんの目から見て、クラブシーンの変化などは感じたりしていますか?
moe:私が10代の頃は、クラブって男女の交流目的で行く人が周囲にも多かったんですが、EDM がブームになり、今は本当に音楽が好きで行く人、音楽の知識がある人が多いな、と感じます。


iFLYER:2019年、moe さんオススメのアーティストや、これから流行りそうな音楽を教えてください。
moe:日本人ラッパーの Tohji 、あの人はヤバいと思う。世界基準で見て、新世代のアーティストの中で飛び抜けていますね。流行としては、また BoysNoise(ボーイズノイズ)や Justis(ジャスティス)といったロックっぽい要素のあるエレクトロのバイブスのある曲がまた来るんじゃないかな、と思います。あとは、既に流行っていますが、ギターとベースの音が入っていてラッパーが歌っているエモトラップみたいな曲も更に出てきそうだなと思います。
 


iFLYER:今後、日本のクラブシーンにはどうなって欲しいですか?
moe:東京のクラブには、あんまり若いコとかギャルとかいない印象なので、もっと若者のカルチャーを作っていって、パワーがある若い子たちに集まって欲しいなと思います。今の若い子って EDM がベースで、デイイベントや昼のフェスから入った子が多いので、レイブカルチャーからクラブシーンに入った年上の人の方がむしろパワーあるんですよね。昼の12時ぐらいまで遊んでるし。だからもっと若いコも遊びに来て欲しいです!

「かわいい」「音がいい」気分がアガる GENELEC スピーカー

今回のインタビューが行われたのは、GENELEC のデモルーム。moe に GENELEC スピーカーの試聴とコメントを求めたところ、「実は既に GENELEC を持っています」と本人から告げられた。彼女自身の部屋に置いて、プライベートリスニングに留まらず、トラックメイクにも使用しているとのことだ。

そこで、インタビュー内容を変更し、GENELEC との出会いや購入の動機、使い勝手などを尋ねてみた。ユーザーならではのリアルなコメントが moe  の口から飾らずに語られる、5分を超える動画で GENELEC の魅力をご紹介!
 


Interviewer:DJ So-on 

DJ moe

日本人最年少にして、「ULTRA EUROPE、 AUSTRALIA、 JAPAN」、「EDCJAPAN、CHINA」、「DWP」、「Songkranzonic」と数々の大型フェスに大抜擢されるなか、2017年12月には、国内DJ初となるNIKEサポートの元、アジアツアーを行う。これまでに約10ケ国以上の主要クラブやフェスに出演している。彼女の DJ スキルと幅広い選曲、ヴィジュアルは、次世代のDJアインコンとして確立した。18歳で出演した Audio Tokyo Electronic Music FestivalにVITAL IC、DUSTY KID等との出演をきっかけに、これまでに数々のアーティストと共演している。また日本最大のダンスミュージックラジオ局block.fmのラジオパーソナリティを努め、Flumeをはじめとする著名アーティストをゲストに迎えている。オリジナル曲「Babe」は Skrillex が主宰するレーベル「NEST HQ」にピックアップされた。2018年にリリースした「Light Years / DJ moe feat. Tashka」はSpotify Japanでバイラルチャート一位を獲得。彼女の世界観は音楽シーンのみならず、NYLONオフィシャルブロガーとしても活動し、ストリートブランド「Neon Mafia」のモデルにも抜擢されている。

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GENELEC


1978年にフィンランドで創立されたプロ用スピーカー・メーカーである「GENELEC」。
世界で初めてアンプを内蔵したアクティブ・スピーカーを開発し、その革新的な技術とサウンドによりプロの音楽制作現場では世界標準となっている。
近年では一般ユーザー向け G シリーズや店舗向け製品も販売されているが、そのクオリティに変わりはない。
インダストリアル・デザイナーの Harri Koskinnen 氏が手がけた北欧デザイン、信頼の Made in Finland、再生アルミニウムやリサイクル可能な部品の採用など、正に北欧を代表するスピーカー・ブランドだ。
そんなレコーディング・スタジオのサウンドを自宅や店舗で体感してみてはいかがだろうか。

Genelec Gシリーズ
https://www.genelec.jp/home-speakers/​