新型コロナウィルスの収束については、まだどの国も見通しが立っていないが、アメリカ・ミズーリ州の知事は5月4日から小売店やレストランの再開を許可している。もちろんソーシャルディスタンスのガイドラインに沿った形での再開となるが、映画館やその他の大規模なイベントなどの開催も可能であるとのことだ。映画館の座席等については、ソーシャルディスタンスの距離を保つことが前提となっており、約1.8メートルの距離を取らなければならないため、実際に約1.8メートルを保ったままイベントを開催することはなかなか難易度が高いのではないかと見られている

そしてなんと、スペインでも今月中に音楽イベントの再開を検討しているとのことだ。スペイン政府が新たに開始したロックダウン脱出計画は、4つの段階で国の再開に取り組むとのことで、第一段階の計画は、5月11日から適用され、「文化行事」のみ最大30人の定員であれば開催許可されるが、会場の収容人数は90人以上の広さである必要があるとのことだ。計画は第二段階、そして第三弾と、少しずつ人数や場所を増やしていくことになっている。


そんな中、オーストラリアの最高医務責任者 Brendan Murphy は「大規模なイベントなどは新型コロナウィルスに対応するワクチンができるまで開催許可は考えていない」と発表。
なお、先日もお伝えしたが、新型コロナウィルスエキスパートの Zeke Emmanuel は「音楽フェスは早くとも2021年秋までは開催できない」と予測している。

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新型コロナウイルスが音楽フェスティバルシーンにもたらす問題点を下に挙げてみよう。

■ 問題点1

クラブやバーをオープンしたところで、きちんとソーシャルディスタンスが守れるかどうか。また、新型コロナウィルスの再流行に繋がる可能性はないか。そして、ワクチンや徹底的な治療法が現段階ではまだない中で、人が密集する場所へ出かける人が実際にいるのかどうか、という問題点が指摘されている.。

■ 問題点2

実際に2021年までフェスティバルが開催できないとなると、フェスティバル運営会社は果たしてどうなるのだろうか。おそらく、2021年まで売り上げが一切ないという状況となるだろう。
オーストラリアの大人気フェス「Splendour in the Grass」や「Lost Paradise」を主催する Architects of Entertainment 社の共同創設者、Haydn Johnston は以下のように述べている。

フェス会場内に設置するトイレ設置業者、現場を担当するクルー、柵を設置する会社、ステージを設置する際のクレーン車を扱える運転手、そういった仲間たちが生き残っていなければ、僕たちもこの業界に生き残っていないだろう。

■ 問題点3

コロナが収束するまで渡航規制の解除は難しい可能性があるのではないだろうか。日本もそうだが、オーストラリアのフェスティバルは海外からの参加者が多いため、渡航規制がかかったままでは参加希望者が航空券を取得することは難しく、またそれは海外のアーティストも同様となる。また、例え渡航できたとしても、14日間の隔離が義務付けられる可能性は高い。


この他にも多数の問題点を抱えており、例え新型コロナウイルスが収束しても、フェス開催までの道のりはまだまだ長そうだ。