イギリスのコンサートツアーセクター全体の専門家が力を合わせ、ライブイベントにおける新型コロナウイルスへの統一された業界の対応を提供することを目的とする新たな団体「PSA ツアープロダクショングループ(PSA TPG)」を立ち上げた。

このグループは、ライブイベント制作業界の貿易団体である「Production Services Association(PSA)」の新たな部門で、ツアーマネージャー、制作マネージャー、安全対策の専門家、会場・フェスティバルマネージャー、旅行・物流の専門家、プロモーター、サプライヤーが含まれている。

また、PSA TPGチームの過去及び現在のクライアントには、Adele(アデル)、Madonna(マドンナ)、P!nk(ピンク)、U2、Ed Sheeran(エド・シーラン)、Spice Girls(スパイスガールズ)などのアーティストや、Wight Festival、Lollapalooza、British Summer Time Hyde Park 等のイベントが含まれている。

▼ Lollapalooza

PSA によると、ツアーの専門家が安全に仕事に復帰し、新型コロナウイルスのワクチンを接種できるようになるまで続くこの状況の中で、セクターの存続をサポートすることに重点を置いているとのことだ。更に、標準となる現地の新型コロナウイルス脅威レベルに対処するツアー固有の安全ガイドラインを制定するという。


PSA TPG は、現地時間7月30日に作業手順ガイダンスドキュメントをリリース。サプライヤー、会場、プロモーターと連携し、新型コロナウイルスに対するリスク管理を支援するとのことだ。

プロダクションマネージャーの Chris Vaughan は以下のように述べている。

「プロダクションおよびツアーマネージャーは、世界中のコンサートの運営、物流、財務、創造、技術の提供に責任を負っているため、実際的かつ現実的に実施できる一連のガイドラインを提案する」


更に、Sam Smith のプロダクションマネージャーである Wob Roberts は次のように述べている。

「新型コロナウイルス は歓迎されないライダー(アーティストの楽屋に用意するもののリスト)への追加だが、ショーで生計を立てている人々ほど、解決策を見つけるのに最適な人々のグループはないだろう。これはドキュメントではなく、環境の変化に応じて効率的に移動する手順のセットになることを目的としている」


BST Hyde Park の制作ディレクターの Mark Ward は以下のように語ってる。

「時代を超えたモットーが「ショーを続けなければならない」ことである業界から、パンデミックは経済的にも、舞台裏で働く膨大な数の人々の精神的幸福にとっても壊滅的な打撃となっている。これらの新しいドキュメントは、人々が探している答えの多くを提供する」


新型コロナウイルスの感染状況に合わせ、政府や自治体の対応が二転三転していく中、クラブ、フェス、イベントサイドもそれに合わせるべく常に流動的な対応を求められ、新型コロナウイルス、政策と観客との板ばさみとなっている現在。それぞれの利害もあるため、日本ではまだまだシーン全体での新型コロナウイルスに対するイベントガイドラインは統一されていないように見受けられる。

しかし、いつまで続くかわからない状況の中、イギリスのようにシーン全体が力を合わせ、専門家の協力を得て、プロの視点からのアドバイスに基づいたガイドラインを制定し、それに沿って運営を行なっていくことこそが、観客やファンの健康を守りつつ、エンターテインメント業界全体を生き長らえさせることに繋がっていくのかもしれない。