欧州連合(EU)は、7月1日より EU 市民、居住者、そして特定のカテゴリーに属する旅行者への『コロナパスポート』の提供を始める。Schengen visa info news によると、6月1日より EU の7つの国(ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ギリシア、クロアチア、ポーランド)で『コロナパスポート』の発行が既に始まっているとのことだ。
この『コロナパスポート』は「人々の行動の規制緩和」そして「経済活動の正常化」を狙って導入されていると NRI は報道している。

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■ EU『コロナパスポート / 証明書』とは?

EU『コロナパスポート / 証明書』とは、紙とデジタル両方の形式で旅行者へ発行される文書。旅行者の状況に応じて3つの形式でパスポートが発行されるそうだ。

1. ワクチン接種パスポート
2. コロナテスト証明書
3. 回復証明書

この文書を保持している旅行者は、ヨーロッパ圏内であれば「隔離期間」が免除され、さらに他国へ到着後に必須の「新型コロナウイルステスト」なしで自由に旅行ができるとのことだ。

※新型コロナの症例数の多い国に関しては制限が課される可能性はあり。

■ ワクチン接種パスポートとは...?

EU『ワクチン接種パスポート』とは、新型コロナウイルスワクチンを接種完了した人に発行される。ワクチンの種類は、ヨーロッパの医学庁で承認された下記4種類。

Comirnaty (BioNTech, Pfizer) → 日本での名称:ファイザー
Moderna → 日本での名称:モデルナ
Vaxzevria (previously COVID-19 Vaccine AstraZeneca, Oxford) → 日本での名称:アストラゼネカ
Janssen (Johnson & Johnson) → 日本での名称:ジョンソン & ジョンソン

この『ワクチン接種パスポート』には、旅行者がワクチンを接種完了していることを証明するとともに「ワクチン接種の時期」「ワクチンの製造元」などの追加情報も記載されるとのことだ。

■ コロナテスト証明書とは?

旅行者が PCR テスト、もしくは抗原テストを受け陰性だった場合は『コロナテスト証明書』を取得することができる。テスト毎に証明書が発行され、そのテスト以前に出た結果は証明書には含まれないとのことだ。だが EU は、このテストの時間枠を発表しておらず、時間枠などは EU 加盟国の決断に委ねられるそうだ。

■ 回復証明書とは?

旅行者が新型コロナに感染し、その後回復したという場合でも、回復証明書を保持していれば旅行可能になる。欧州委員会によると「EU デジタル新型コロナ感染回復証明書」を保持している場合、新型コロナテストでの結果が陽性となった後、SARS-CoV-2 感染症から回復した事を証明するものとなるそうだ。この証明書は最初に陽性が出てから11日後以降に発行される。

※ SARS-CoV-2 とは...?
日経メディカルによると、新型コロナの正式な名称は、病名:COVID-19、ウイルス名:SARS-CoV-2 となっている。

■ 『ワクチンパスポート』まとめ

パスポートの発行は、7月1日以前にワクチン接種を完了している場合、誰でも無料で申請できる。またこの制度は、2021年7月1日から2022年6月30日まで実施され、必要に応じて1年延長する可能性があるとのことだ。

また、EU ワクチンパスポートは、国連、WHO、国際民間航空機関(ICAO)が主導するもので、世界的に展開できるようにもなっているとのことだ。欧州位委員会は、他国で開発されたコロナ証明書と互換性を持たせるために動いていると発表している。

だが、現時点では旅行者がこの EU『ワクチンパスポート』を保持し、EU 以外の国を旅行する場合、入国制限等を緩和するか否かは不明となっている。

さらに、ワクチン接種を受けていない旅行者も EU 諸国を旅行するときに差別されないように必要な措置を講じているそうだ。そのため、ワクチン接種を受けていない場合でも『コロナテスト証明書』を保持して入れば自由に EU 諸国を旅行できるとのことだ。

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※2021年6月17日、新たな情報を元に内容更新