ULTRA JAPAN 2016のiFLYER取材のハイライトでもあったRukes.comことRukes氏(Drew Ressler)のインタビュー
ULTRAやTomorrowlandといった誰もが一度は行っておきたいと思う人気のフェスティバルを舞台裏で支えている様々なクリエイターたちがいるが、その一人とも言える重鎮的存在なのが、Rutger GeerlingことRudgr



ULTRA JAPAN 2016もmarshmelloなど様々なアーティストの写真を撮ってくれたRutger。
RukesもiFLYERとのインタビューで存在を明かしていた空中ショットがお得意の超人気フォトグラファーのRutger Geerlingrに独占でiFLYERがインタビュー!

エキストリームスポーツ好きの彼の私生活から写真集の単行本デビューなどについて色々聞いてみました!
 

<キャリアについて>

毎回写真を拝見しています。本当に鮮やかで綺麗です。
そもそも、どのように写真家としての道を歩もうと思われたのですか?


僕は、90年代からオランダを中心にダンスイベントのフォトグラファーとして仕事をしてきたんだ。その頃は、それと並行してエキストリームスポーツや旅行などの写真撮影でも雇われていたけどね。でも徐々に撮影の仕事が全体的にダンスミュージックに関するものへと変わっていったんだ。

今となっては、Ultra Music FestivalとTomorrowlandのシニア・ワールドワイド・フォトグラファーになったよ!

そもそも仕事としてフォトグラファーになったのは、もう1995年にまで遡るね。当時フォトグラファーとして働いていた会社がスノボ雑誌だけでなく音楽雑誌も発刊していたのがきっかけかな。だから、冬はスノボのための撮影だったけれど、夏は音楽関連のための撮影だったんだ。

その頃は、まだダンスミュージックを専門とするフォトグラファーがあまりいなくて、ニッチ的存在だったから、僕は仕事を重ねていくうちに評価されて、Sensation、TomorrowlandやMysterylandを20年以上にもわたりプロデュースするオランダを代表するイベント・カンパニーのID&Tのシニア・フォトグラファーになるオファーをもらったんだ。

一番最初に撮影した音楽フェスティバルを覚えていますか?

ずっと思い出そうとしているんだけれど、覚えていなんだよね。ハードコアなパーティーだったことには間違いない。(笑)僕はスケボっぽいファッションで撮影していた頃だよ。

故郷であるオランダの音楽カルチャーが今の自分の職業へ影響したと思われますか?

僕は、アムステルダムから南に45分のところにあるロッテルダム出身なんだけれど、少なからずオランダという土地が僕の職業へ至るまでの経緯を影響してきたと思うよ。

だってオランダは、プロフェッショナルなダンスミュージック業界の誕生した場所だからね
しかも、安全とかライセンスなどの法律的なことさえ整っていれば、行政機関もダンスミュージック業界のムーヴメントを支えていたからね。その上、他の国と違って、政府機関もこのムーヴメントをサポートしていたから、素早く業界としてその立ち位置をプロフェッショナルに築き上げたからね。

2016年だけで、Life In Color IzmirやUltra Music Festival Miamiなど東西南北に仕事をされてきましたよね!思い出深いエピソードはありますか?

Ultra Music Festival Miamiは僕にとってどの年でも特別な存在だね
シーズンに向けての大きなキックオフイベントだから、準備期間を入れると僕に取っては、10月から始まるイベントだよ。
とにかく、マイアミっていう場所とそこのヴァイブズが大好き。あと、Ultra Music Festivalを企画するUltraチームは、真なるダンスミュージック好きの人たちのために良いイベントを提供しようと全力を尽くしている。

でも思い出深いエピソードといえば、Ultra EuropeでのArmin Van Buurenのセットは僕にとってハイライトだったね。残念ながら、今年のUltra Europeは天気の影響でDAY 1がキャンセルとなったから、週末を幕開けする初めのビッグアーティストがArminだったんだよ。
DAY 1がキャンセルされて待ちに待ったUltra Europeが開幕したDAY 2に、Arminが「Dominator」をかけた瞬間の観客のリスポンスに圧倒されたよ



あと風景の観点でいえば、Tomorrowland Brasilの夕日は忘れられない。日中は嫌になるくらい暑いけれど、あの夕日を見ればそれも忘れるくらい美しいよ。

Rudgrが選ぶお気に入りの二枚は何ですか?

必ずお気に入りと公言しているのが、1996年に撮ったCarl Coxの写真。もう何年も前に本人に原本を渡したよ。彼は、心から僕の写真撮影を応援してくれていて気に入ってくれていたんだよね。あとは、やっぱり2003年に撮ったTiëstoの有名な写真。人気のテレビ番組中に撮影したものであり、レコードを指にバランスしているレアな写真だよ。
彼は、本当にDJたちのために多くのことを成し遂げていて、DJ界の王様だと僕は思っているよ。彼の写真を撮るのもいつも楽しい。

2016年残りでも、Ultra Singapore、Ultra Japanに引き続きArmin Onlyの撮影仕事が入ってますね!ファンとの交流で印象的な出来事はありましたか?

最近はSNSとかでのフォロワーも増えて、自分をRudgrと認識してくれるファンの人も多いと実感しているよ。
例えば、「Rudgr私たちを撮影して!」っていう看板を掲げる子だったり、僕と一緒に写真を撮りたい人がいたりするととても嬉しい気分になる。これだけ、みんな写真に対して興味をいだいていたり、気に入っていることは僕にとっては光栄な出来事だよ。
でもさすがに、インドの公演のときに40人くらいの人に写真を撮ってほしいと囲まれたときは、クレイジーだったけれど、同時にその反応は純粋に嬉しかったよ。
 

​<出版した写真集について>

多くのアーティストにも高い評価を得ている写真本This Is My Churchを出版されましたね。その経緯とは?



僕の友人を含む3人で同じアイデアを思いついていたんだよね。
そのアイデアとは、僕の写真やストーリーを一つにまとめたフォトブックを作成すること。そこから、ビールを何杯か飲んでいくうちに、「This Is My Church」の原型案が完成したんだ。

実行に移すプロセスが一番大変だったよ。およそ3万枚の写真から300枚を厳選する作業は容易ではなかったし、沢山のディスカッションを重ねたよ。自分の子どものような存在の写真たちを排除していかなければならない作業が一番大変だったね。

そこから、DJの写真には、そのDJからのコメントを付け足したら面白いのではとなって、運良くよも自分の大好きなDJたちもみんなそれに了承してくれたんだ。このコメント作業を実行していく際は、実際にHardwell、Dimitri Vegas & Like Mike、Armin Van Buuren、Martin Garrixなどをスタジオに呼び、写真を振り返ってもらったんだ。Tiëstoとかまだブレイクする前の1998年の写真とか見ていて、そういった反応を見るのも面白かったよ。
 


その出版された本でとくに好きな名言やインタビューはありますか?

2.5キロの重さもする本の割には、かなりの部数を販売したよ。重量制限により最近はヨーロッパのみの郵送となっているんだ。安全上の理由でもヨーロッパ以外に郵送するとダメージを受ける場合があるからね。



でも、インタビューといえば、Hardwellとのインタビューが一番面白かったね。2時間以上も話しくれたよ。彼だけの名言でも本が完成するくらいの勢いだったよ。
あとはやっぱりTiëstoは長年一撮影をしてきたアーティストであり、交流も長い特別な存在だから、僕の本を大変サポートしてくれたこともあり、彼とのインタビューは貴重だったよ。
過去の自分の作品を掘り返して、まだTiësto本人が見たことのなかった写真を見せたときの会話とかは特別な空気感だったね。
あと、Dimitri Vegas & Like Mikeは超面白かったよ!彼らの家でやったんだけど、Mikeがずっとつまみと最髙なワインを出してくれたから、楽しくインタビューが出来たよ。

<DJとの交流について>

様々なアーティストを撮影してきたと思いますが、とくに仲の良いDJはいたりしますか?



そうだね。同じ故郷ということもあり多くのオランダDJとは交流が長いから、特に仲が良いよ。でも基本的にどのDJとも仕事がしやすいよ。
その中でも、Armin Van Buuren、Hardwell、Martin Garrixほど優しくて心遣いのある人はなかなかいないよ!

あと、Dimitri Vegas & Like MikeのDimitri、Nicky RomeroやR3habは写真も趣味だから、写真のことについて語ったり、一緒に写真撮影するときは楽しいよ。



Hardwellとは特に仲が良いですよね?

Robbert(Hardwell本名)は本当に最髙。彼とは、これから先も一緒に活動していきたいねって話しているよ。
彼はどんなに疲れていても絶対に笑顔を絶やさないし、常に明るい。確か去年の12月にインドで入場無料のチャリティ公演は、あまりの満員にけが人が出るのではと危ぶまれていたんだけれど、無事に公演が終了したときのHardwellの笑顔は今までで一番の素敵なスマイルだったよ。そんな彼の一大プロジェクトに携われたのは最髙だよ。

特に一緒にハングアウトすることが好きなDJは誰ですか?



ここ数年でとくにArmin Van Buurenとは更に距離が縮まったよ。なぜなら彼のツアーに同行する機会が多くなったこともあるし、年齢、人生背景や家族のいるライフスタイルなど多く重なる部分があるんだよね。
ちょうど先週イスラエルに観光をかねて一緒に現地入りして、14メートルもの深さのある「嘆きの壁」とかの観光地を含む素晴らしい観光ツアーに2人で参加したよ。

人ごみもなく、警備員のいない、いつもとは違った空間でリラックスしてツアーに参加できたのが新鮮だったね。
でも最後の最後に、ツアーガイドさんが気を遣って、一番最後にプライベートでArmin本人に、「まさかですが、Armin Van Buurenですか?」って聞いてたよ。(笑)

<プライベートライフの趣味について>

これだけ様々な国で撮影してきたRudgrが選ぶトップ3の国とは何ですか?

もう写真家としては何年もキャリアを積んできたけれど、王道のトップ3はアメリカ(とくに北西部)、日本(本州)、南アフリカだね。
ここの三国は、キャリアの中でも何回も足を運んでいるところだよ。

ダンスミュージックの仕事がいでは、スキューバダイビングも楽しまれていますね!
Rutgrが今まで行った中でTOP 3のスキューバ・ダイビングのおすすめスポットを教えてください!




No.1 カナダ・バンクーバーアイランド
一番好きなのは、バンクーバーアイランド。
寒いけれど、水中の景色には心を奪われるよ。
想像してみて。50以上の腕を持つヒトデとかシャチだけじゃないレアな水中動物や魚に会える。今まで一番のダイビング・ポイントだったよ。

No.2 日本・伊豆諸島
日本は大好きだったよ!(I LOVED JAPANと言ってくれました!)
温暖な水と寒暖な水か交差するという特徴的なネイチャーを持つ伊豆諸島に行ったんだ。
この温度差があるから、冷たい環境でしか育たない水中植物がトロピカルな魚を呼び寄せるんだよ。そして、寒い後に入る温泉とかが最高だった。時間があるときは、伊豆諸島にまた行きたいよ。

No.3 マレーシア
ナショナル・ジオグラフィックの旅行雑誌の撮影のために訪れたマレーシアも綺麗だったよ。
まだ侵されていないコーラルリーフなど貴重な水中景色があって圧倒されたよ。

プライベートも超充実なスポーツライフ!
今まで人生でチャレンジングかつ楽しかったエキストリームスポーツは何ですか?


スキューバダイビングは大好きなんだけど、それと同じくらいサメが好きなんだ
以前にサメとケージダイビングをしたことがあったんだけれど、それを超えるオープン・ウォーターでのタイガー・シャークと一緒に泳いだ経験は、今まで一番スリリングかつ楽しかったよ!

今ほどダンスミュージック関連の撮影仕事が入らなかった頃は、ハイキング、クライミング、パウダースノーでの登山などマウンテン関連のスポーツ経験もかなり積んでいたよ。
スノボのシーンは今でも恋しきなる時があるけれど、ダンスミュージック関連の仕事と一緒にそのシーンの仕事も両立したら、家族との時間が作れないから、今は音楽関連に集中しているよ。

<フェス撮影について>

Rukesは地上専門ですが、Rudgrは空中ショットもやりますね。そういった撮影通路は事前にプランするんですか?



時に事前に計画することもあるよ。例えば、2016年のTomorrowlandでのNicky Romeroの旗の写真は計画してからの撮影だった。



あとは、もちろん「花火」とか「ヘッドライナー出演」といった特別なタイムスロットを意識することもある。でもあとは基本そのときの流れに身を任せているよ。もう空中ショットも沢山経験を重ねて来たからなれたよ。平均で年間6〜7時間くらいヘリコプターから空中ショットを撮影しているよ。

これだけ世界中のフェスを撮影してきたRutgrが日本の方にお勧めする音楽フェスティバルは何ですか?
 



Ultra MiamiかTomorrowlandだね。
どちらも、参加者が「人生の思い出」として一生共にできる素敵な経験だと思う。
そして、どちらも各自ユニークであり、とにかく参加する甲斐がある。


フェスだけでなく旅行を兼ねての渡航であれば、お勧めするのはUltra Europeだね。開催地のクロアチアはヨーロッパで有数の絶景を誇る美しい国だから。

フェス撮影の道中では、Rutgrはどんな音楽を聴いているんですか?

僕は大のトランス好き
だから、通勤中とかも必ずAbove & Beyondは聞いているよ。
トランス以外だと、Kalkbrenners、Eric Prydz、Eelke Kleijnのメロウ系な楽曲だね。



大型フェスの撮影のあとは、どのように過ごされているんですか?

12時間以上もずっと立ったまま撮影しているから、編集作業を終えたあとは、ベッドに飛び込んで睡眠を取ることしか考えていないよ!
たまーに、アフターパーティーに参加するけれど稀かな。

最近では多くの写真家がダンスミュージックの業界でも増えてきていますが、Rudgrはその中でどのようにオリジナリティを保ってきたんですか?

自分の長所・得意分野を活かすように心がけている。
仕事の種類によってはずっとステージからの撮影という限定的な範囲での移動になることもあり、クリエイティブになるのが難しい。だから、クライアントが好きに撮影していいよって言ってくれるときが一番。
例えば、Tomorrowlandのようなフェスでは、あまりにも広大な敷地のためチームとして撮影する。だからある意味、自分に限界を作らざるを得ない。でも、自分のクリエイティブが本領発揮するのは、フェスやコンサートなどの現場を何時間もかけて自由に練り歩くときだと感じるよ。毎回そんな余裕はないけれどね!(笑)



今後Rutgrが成し遂げていきたい目標は何ですか?

EDC Las Vegasは一回だけでも良いから是非撮ってみたいね。
あと、Electric Forestについても関係者や友達からめっちゃ良いレビューを聞いているから行ってみたいな。

でもずっと僕の目標リストにあるのは、Burning Manの撮影だよ!
ただ、タイミング的に合わないんだよね。

撮影以外では、また何本かスキューバダイビングの旅行にいけたら良いな!
 
プライベートからキャリアライフまでが充実そのものRudgr!
今後ULTRA MUSIC FESTIVALやTomorrowlandで見かけたら是非声をかけてみてくださいね!
彼の素晴らしい写真の数々はRudgrのSNSでもアップされているのでチェック。

次なる目的地は、ULTRA BRASIL!彼のSNSでは随時写真がUPしているので鮮やかな色彩での物語溢れる彼の写真を見ていただきたい。
 

Rudgr Facebook: https://www.facebook.com/Rudgrcom
Rudgr Twitter: https://twitter.com/rudgrcom
Rudgr Instagram: https://www.instagram.com/rudgrcom/?hl=en

多くのアーティストがサポートを示す本This Is My Churchも公式サイトよりはヨーロッパの住所があれば郵送可能!