みなさんは、フジロックを支える公式ファンサイト「FUJIROCKERS.org」の存在をご存知だろうか。
FUJIROCKERS.orgは、その代表である花房氏の元にフジロックファン有志が集まって作られている。フジロック開催第一回目からの長きにわたり、フジロックの様子を苗場からお届けする速報レポート「FUJIROCKERS EXPRESS」をはじめとする活動を行い、フジロックファンたちとフジロックとを繋ぐ橋渡し的な役割を担っている。
前回は、現在のFUJIROCKERS.orgを支えるスタッフの中心となって活躍する、ライター統括の丸山亮平さん、カメラマン統括の森良太さんにFUJIROCKERS.orgではどんな活動をしているのかをお伺いした。
今回は、海外広報担当のローラさん、Web担当の坂上大介さんにFUJIROCKERS.org活動内容についてをインタビュー!

▼前回までのインタビューはこちら▼
フジロック公式ファンサイト【FUJIROCKERS.org】どんな活動をしてるの? 前編
 

海外広報担当
ローラさん


iFLYER:五年ほど前から、フジロックに来る外国人の方が増えたように感じます。彼らが増えてから、フジロックは変わりましたか? また、外国人客が増えたことをどう思いますか?

ローラ:フジロックが海外でも一気に人気になったのは、海外での話題性のあるプロモーションが増えてきたからです。ここにくるまでに時間がかかったんですよ。アジアのフェスは海外であまり知られてない。フジロックの魅力は、まず日本で開催されるフェスであるということ! 日本はCOOLだと思ってる外国人はたくさんいて、彼らは日本に行きたい気持ちが強い。また、とても安全なフェスであるというのもフジロックの良い点です。他の海外のフェスは、ドラッグやってる人もいっぱいいるし、危険なイメージがある。フジロックのようにリラックスしているフェスは、他にはありません。UKとかのフェスは危なっかしいんです。アーティストのラインナップもとても良い。世界中から魅力的なアーティストが集められているし、日本のアーティストも良いですよね。最近は海外でも日本の音楽に対しての関心が強くなっています。アンダーグラウンドな音楽に、皆興味があるんです。フジロックはそういうインディーバンドを探すのが上手ですよね。


iFLYER:最近では、アメリカやヨーロッパの観光客ばかりではなく、台湾や香港などアジアの国からもいっぱいお客さんが来てますよね。

ローラ:台湾のお客さんは、ここ数年間で激増していますね。フジロッカーズのスタッフが2人台湾に住んでいて、その他にも韓国やアジア周辺でプロモーションをたくさんやってくれているスタッフがいます。あと経済的に考えても、最近台湾や中国は以前よりも経済的に余裕があるみたいだから、日本へ観光しやすくなったんでしょうね。

花房:フジロックではどんな人でも受け入れよう、といううバイブスがあるよね。みんな仲間的な意識を持っていて、リラックスした雰囲気がある。

ローラ:欧米圏の人がアジアに旅行するのは凄く大変なことなんです。食事の面や、交通機関についてなど、心配する要素がいっぱい!

花房:まあ、英語が読めればたいていのことは大丈夫なんだけどね(笑)。

iFLYER:1999年だか2000年頃のフジロックでは、あまり外国人のお客さんの姿を目にしなかった気がします。近年とても増えましたよね。SMASHがイギリスでのプロモーションを始めてから、非常に変わったように思えます。また、ワールドカップ以降、日本に対しての関心が増えたようにも感じますね。外国人の中には「海外のフェスは危ないし汚いし、人は暴れる」と言う人もいますが、フジロックではそんな人はいません。悪い人がいたとしても、環境がいいからフェス中は暴れない。

花房:アーティスト達も、フジロックは最高って言ってくれるから嬉しいよね。他のフェスだとファンに囲まれて騒がれるけど、フジロックではリラックスできるってさ。

iFLYER:いろんなアーティストの方がフジロック最高って言ってくれているようですが、海外の音楽ファンの中にも、フジロックはいいフェスだという認識は広がっているのでしょうか?

ローラ:フジロックは世界のフェスランキングで3位なんですよ! 注目度が非常に高いです。最近はフェス目的での旅行も増えてきたし。グラストンバリー(グラストンベリー)のような大きなフェスは、以前と比べると人気が落ちてきています。逆に、小規模のフェスがより注目されてきている。フジロックは世界のフェスの規模から見たら小規模な方ですが、それもまた魅力の一つなんです。
 

web担当
坂上 大介さん

iFLYER:以前はインターネット掲示板を中心としていたFUJIROCKERS.orgがSNS上に活動の場を移したからこそ発生するようになった問題などはありますか? 

坂上:めっちゃあります。僕は、インターネット掲示板時代にはまだFUJIROCKERS.orgにおらず、僕の先輩が現在僕が今担当している業務を行ってました。今は環境が揃っていて、ある程度サイトをきちんと管理できるようになりましたが、先輩が凄かったのは、本能なのかインターネットの可能性をわかっていて、最初からそこを意識してずっと動いていた。役割を引き継いだ現在の僕に今でもアドバイスをくれてます。SNSができたことによって、インターネットの価値や使われ方というのはちょっとずつ変わってきていますが、今はユーザーがアップした情報をユーザーが見て満足しちゃう時代です。そんな中で、速報サイトであるFUJIROCK EXPRESSが写真とテキストでどうやって価値を出せるかというのは、結構悩むところではありますよね。FUJIROCKERS.orgならではの視点の価値を出せればな、というのはいつも考えています。2〜3年前から、お客さんごともっと巻き込みたい、一方的ではなく相互でやりたいと常に考えています。

花房:FUJIROCKERS.orgというのはFUJIROCKERS.orgでしかない。フジロック好きで集まってきている人たち、それで良いわけよ。そういう人たちが、自分たちで情報発信していく。ただ問題は、僕らそれぞれが伝えることの価値というのはなんなのか、ということ。例えば、インターネット中継でみんながライブを観れるようになった時代において、それを説明する意味なんて全くない。でも、その人が誰それのライブを見てこういう風に感じたというのは、その人以外は誰も知らない。自分を打ち出すことがレビューであって、それが凄く重要となってくる。FUJIROCK EXPRESSはぞれぞれの視点で、自分はこう感じてこういうことが言いたい、ときちんと言える場であるべきなの。それぞれが違った意見を持っていて良いし、それらをきちんと出していく媒体としてFUJIROCKERS.orgが存在することの重要性がある。それが試されているよね。

坂上:そういう編集方針でやってます(笑)。お前の気持ちを書け、って花さん(花房さん)よく言うんですけど。


iFLYER:今後、FUJIROCKERS.orgはどんな風に進化していくと考えていますか?

坂上:そういう話はあんまりしてないですが、webサイトの形にこだわらない方が実は良いのかな、と最近思っています。もっと自由に記事を書いて、と言うんですが、結構型にはまっちゃうことも多いから。だから、もっと丸出しな意見が出ても良いなぁ、と僕は思っています。一方向的にフジロック主催者側の意見を発信するのではなく、今だからこそできるバランスで、お客さんからもレスポンスをもらって、こちらからも情報を提供できると良いですね。レスポンス自体を出しちゃうぐらいでも良い。

花房:FUJIROCKERS.orgの要はまさにそれだと思うし、「俺はフジロック好きだよ」って言っている人たちが情報を発信することによってどんなことが起こるか、というのが重要であるのでFUJIROCKERS EXPRESSにしてもFUJIROCKERS.orgの活動にしても、「こうしなさい」というのは全くないです。様々な人の違った意見があるわけで、それらのケイオス(カオス/混沌)の中からオーダーが生まれてくる。それは上からのものではなく、様々な要素があって自分たちで自分たち自身をオーガナイズしている。それが一番良い形のオーガナイゼーションだと思う。

坂上:以前、出店ブースでのゲリラライブ企画をFUJIROCK EXPRESSで速報をした時に、SMASHから「そもそも出店ブースはライブNGだから、煽るのはやめてくれ」ってクレームが来たことがありましたね。そもそもゲリラ的に行われることだったようで、そこは運営は関われないところだったし、それをうちがキャッチして記事にしちゃったので注意されました。

花房:起きてしまった事実を「こんなことがあったよ」と書くのはアリだし、そうじゃないとダメだけどね。

坂上:そこが難しいですよね。だって、Twitterで誰かが書いたものに対しては、取り締まれない。

花房:ソーシャルネットワークの面白さはそこにあるわけ。俺たちがそこにいて、自然発生的にいろんなことが起きて、それを目撃してしまうこともある。それを伝えるのは俺たちの勝手。自然発生的にいろんなことが起きたとき、誰かが何かしたいと思って人が集まってきたときに、それを俺は基本的にサポートしたい。運営側が場所や時間を規制したがるのは仕方がないことではあるけれどね。

坂上:FUJIROCKERS.orgとしては「それをやりますよ」ってことは発信できないんだろうけど「何かが起きて、それがすごい盛り上がった」ということは、積極的に取り上げたいと思ってます。

 


最後に、皆さんに「フジロック、そしてFUJIROCKERS.orgに関わったことが自分の人生をどう変えたのか」をお伺いしてみた。


森:カメラマン駆け出しの頃にFUJIROCKERS.orgに参加したことで、音楽業界で写真を撮るきっかけになりました。それは私だけでなく、他のカメラマンに
も多いようです。

坂上:どちらかというと僕はFUJIROCKERS.orgというより花さんや、僕にFUJIROCKERS.orgの役割を引き継いでくれた先輩から受けた影響が大きいですね。花さんは自分の世界を持っているけど、俺の話も他人の話もとりあえず全部受け入れてくれるんです。その上で自分でどう考えるかジャッジする。特に若い頃などは自分の世界に固まって他人の意見なんか聞かなかったりしがちですが、花さんは固まってるくせに全部開けっぴろげなんですよ。女の子には全員「かわいいね」って言うし。そういうところが凄く楽しくて、そういうのにも影響を受けて、目覚めました(笑)。

ローラ:FUJIROCKERS.orgに入って、凄く勉強になってます。前は音楽の興味の幅がもっと狭く、フジロックのライナップなんてほとんど知らないアーティストばかりでした。いろんな音楽のリサーチをすることになって、以前なら絶対好きになれないって思ってたジャンルも聴くようになりました。今は毎週新しい音楽をチェックして、誰が売れてるのか、誰がリリースしてるのかをリサーチしています。いろんな音楽に触れることができてとても嬉しいですし、たくさんの人にも出会えたり、世界中の人に今の日本の音楽シーンのことを伝えられることができて幸せです。

丸山:僕は2006年だか2007年にフジロックに初めて行ったんですが、こんなに楽しい世界があったのにどうして今まで知らなかったんだろうって思ったんですよね。そしてFUJIROCKERS.orgのことを知って、面接を受けに行ったら花さんがいたんです。FUJIROCKERS.orgの活動は、もちろん自分の仕事にも凄く影響してるし、あと友達が増えたな、というのも嬉しいですね。花さんはボスなんですが、友達でもあるんです。権威を押し付けてきたりしないし、凄く優しい。他のメンバーもみんな、FUJIROCKERS.orgに入らなかったら知り合わなかっただろうし、もう音楽だけの話ではないですね。



いかがだっただろうか。FUJIROCKERS.orgでは、常時メンバーを募集中。気になる方は、公式ホームページFUJIROCKERS.orgのFACEBOOKページをチェック! もしかしたら、来年のフジロックではあなたもFUJIROCKERS.orgの仲間になっているかも…!?

Interview by きのや

フジロッカーズ・バー、やってるよ!

コンセプトは「Let's Get Together & Have Fun」!
不定期開催、下北沢の開催されるフジロッカーのためのイベント。
初心者大歓迎!音楽とお酒、そして楽しい音楽仲間との出会いとお喋りを楽しみたい方はぜひどうぞ!
FUJIROCKERS.orgのボス、花房氏にも会えちゃうかも!?

開催日時:不定期開催、19:30 - 23:00
※詳細日時はFacebookのFujirockersページにてご確認下さい。
開催場所:下北沢 メンフィス兄弟
料金:ファーストドリンクが1000円(あとはメニュー通りの金額です)

FACEBOOK
https://www.facebook.com/Fujirockers/?fref=ts​