新型コロナウイルスにより世界中が大きな打撃を受けている中で、日本〜世界各国で活躍するアーティストたちに、彼らの住む国の近況と、仕事、音楽シーン、そして彼ら自身の生活に対する今現在の想いをインタビューしていくシリーズ「【新型コロナ VS. 世界のダンスミュージックシーン】アーティストたちが伝える各国の現状、シーンと彼らのこれから」。


今回は、アメリカ・テキサス出身の Chad(チャド)と David(デイビッド)のデュオ、Tritonal(トライトナル)。2008年から音楽活動を始め、2012年には DJMAG TOP 100 にランクイン、2013年、Enhanced Recordings からリリースした3部作 EP「Metamorphic I~IIIで世界的な知名度を得た。中でも "Now Or Never" は EDM ファンであれば1度は耳にしたことがあるのではないだろうか。Tritonal は現在までに数々の名曲を生み出している。


昨年6月、WARP SHINJUKU に待望の初来日を果たした際には、平日にもかかわらず超満員となり、日本での知名度と人気の高さを証明した。

Tritonalは5月22日(金)新曲 "Someone To Love You​" を、Enhanced Recordings からリリースしている。

>>"Someone To Love You​"のダウンロードはこちらから!!

 

iFLYER:かなりコンスタントに素晴らしい楽曲をリリースされていますが、どういった時に曲のインスピレーションが生まれますか?

Tritonal:ハローみんな、褒めてくれてありがとう!:)  一貫性のあるクリエイターになるための鍵の1つは、様々な異なった精神と感情の枠組みを作ることだね。本当のことを言うと、僕たちは常にインスピレーションを感じているわけじゃない。疲れている時、心が安らぐ場所にいる時、それから悲しい時にも曲を制作するし、外が灰色に曇っている時にも曲を制作する。外が晴れやかな時にも曲を制作するが、そんなときは外で制作したいね。


僕たちは自分の内面を無視しているというわけではない。僕たちはそれを尊重しているし、それに基づいて制作をしている。そうすることによって、純粋で真っ白なインスピレーションに頼らなくても、制作する土台を作れる。だけどそのためには、訓練が必要だけどね。インスピレーションは最高だよ! だけど上でも言ったように、インスピレーションが常にあるわけではないんだ。


iFLYER:「Out My Mind」「Diamonds」「Easy」などの楽曲が、個人的に特に好きです。メロディーとボーカル、どちらのアイディアが先に生まれて曲が完成するのでしょうか?

Tritonal:楽曲によるけど、制作過程が始まる箇所は様々だ。多くの楽曲は他の作曲家と一緒に作る。コラボレーションして制作することが、通常よりも良い結果ををもたらしてくれるからね。"Out My Mind" は、初期段階のデモを僕たちのマネージャーから貰ったので、それに合う音楽性について取り組んで、どのボーカルがそれに寄り添ってまとまりのある楽曲になるかを色々試して探したよ。
 

"Diamonds" は、ドロップ部分にかなり重点を置いて、全く逆方向から取り組み始めて別パートのアレンジメントを加えた。こんな風に、僕たちは常に「正しいボーカル」を探しているわけではない。だからこそ、こういった理由でたくさんの楽曲をリリースしていないんだ。他にも様々な理由でリリースしていない曲がたくさんあるよ。ファンが聴くのは実際にリリースされたものだけで、それは実際には何か楽曲を作った際の断片だったりするんだよね。
 

iFLYER:Tritonal のアーティスト名、顔の前で三角を作るポーズ、カバーアートと、三角マークが印象的です。アーティスト名の由来を教えてください。

Tritonal:TRITONAL は TRITONE という音程の言葉に由来する。ピアノでは5番目に音を小さくしたものだ。それから "Tritonal" は、軍隊が空中から落とした爆弾でもある。それは80% TNT で出来ているんだ。(※TNT ……トリニトロトルエンという化学物質)。アイディアは「音楽的な爆発性」だから、僕たちは強いあだ名(アーティスト名)があってとても幸運だと思ったよ!

それから、錬金術記号(※18世紀に錬金術で用いられた記号)では、三角形は三つの表面を意味している。それは僕たちが生きていくうちに経験する人間の意識でもある。体、精神、そしてスピリット・魂だね。


iFLYER:Enhanced Recordings からリリースしている作品のうち、「Little By Little」までは全て蝶がカバーアートとなっていましたが、「Never Be The Same」からカバーデザインが変わりました。そこには何か理由があるのでしょうか?

Tritonal:もちろん。僕たちのアート(楽曲)は、僕たちの創造力を表現しようとしている。蝶は、Tritonal があるシーンでは成熟したプロデューサー、そしてソングライターとして実現していった象徴だ。音楽は遥かにオーガニックな音で、荒くはなかった。僕たちはアンダーグラウンドなトランスからプログレッシブトランスに変わっていき、そしてエレクトロダンスミュージックの領域に入っていった。"Painting With Dreams" のサウンドから始まって "U & ME" でなんとなくクライマックスとなった。それからラジオで流れても良いような楽曲を僕たちは数年間制作してきた。そして今、内側としては、一周回って元々の場所(ホーム)に戻りたいと感じているんだ。だから僕たちの元々のルーツである、トランス、プログレッシブトランス、アンダーグラウンドなダンスミュージックに戻ろうとしている。でも、今までリリースしてきたようなサウンドを造らないというわけではない。

蝶でなくなった意味は、スタートさせたところで終わらせたかったからだ。純粋な信頼があった場所でね。
 

iFLYER:Tritonal の楽曲と言えば綺麗な突き抜けるような Trance と心地よい Progressive Trance がミックスされた独特のサウンドが特徴的です。楽曲制作を始めた頃、どんな楽曲を聴いてましたか? また特定のアーティストに何か影響を受けていますか?

Tritonal:そうだね、僕たちの音楽の幅や域はすごく歴史があるし広い。(Chad と Dave の間でね)それにとても多種多様だ。僕(Chad)がダンスミュージックに夢中になり始めたのは、音楽のパイオニアたち、Sasha & Digweed, Paul Oakenfold, Chemical Brothers, Prodigy, Nick Warren, それから Tiesto の影響だ。彼らは初期の TRITONAL を創ったし、だから僕たちの初期の音楽のベースは非常にトランス寄りだ。


iFLYER:今はロサンゼルスにお住まいなのでしょうか? 新型コロナウイルスの影響はいかがでしょうか?

Tritonal:僕たちは、テキサス州・オースティンに住んでいるよ。テキサスでは店が再開し始めているけど、僕たちはほとんど自己隔離をして過ごしている。僕たちは健康だし、家族が側にいるのでとても感謝しているよ!


iFLYER:#STAYHOME 中は何をして過ごされていますか?

Tritonal:僕たちは多くのことを考えている。どういったメッセージを伝えたいのか、何が僕たちにとって大切なのかを考えたりしている。それから、今僕たちの中で一番の秘密だから、これは絶対に言えないんだけど、僕たちは新しい名義で音楽制作をしているんだ。Tritonal マスタークラスシリーズ もすごく楽しみにしているよ!

iFLYER:最後に日本のファンへメッセージを頂けますか?

Tritonal:「ほとんどの人々は、欲望と恐怖を持って生きている。欲望を持つのは、自分が「本当の自分」になるために何かを加える必要があるためだ。全ての恐怖は、何かを失う怖さ、それによって自分の何かが減少して、自分の存在が薄くなる恐怖だ。これらの2つ動作は「在る」こと自体に何かを与えられたり奪われたりすることはできない。「在る」こと自体は既にあなたたちの中にあるんだ。」Eckhart Tolle


Tritonal

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